【ITニュース解説】How to Distinguish a Population of Interstellar Rocks from a Fleet of Spacecraft?
2025年09月09日に「Medium」が公開したITニュース「How to Distinguish a Population of Interstellar Rocks from a Fleet of Spacecraft?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
太陽系の外から飛来する天体が、自然の岩石か人工の探査機かを区別する方法が提唱された。太陽に向かう速度の分布を統計的に分析し、それがランダムな自然物か、意図的な航行を行う探査機群かを見分けるというものだ。
ITニュース解説
太陽系の外から飛来する天体、「恒星間天体」の観測が近年相次いでいる。2017年の「オウムアムア」や2019年の「ボリソフ」などがその代表例であり、これらの発見は、宇宙には我々の太陽系を超えて移動する物体が多数存在することを示している。ここで一つの壮大な疑問が生まれる。これらの天体は、遠い恒星系から偶然弾き出された単なる岩石や氷の塊なのだろうか。それとも、地球外の知的生命体によって意図的に送り込まれた探査機、つまり宇宙船団の一部なのだろうか。この問いに科学的にアプローチするため、天体の集団が持つ統計的な性質に着目し、自然物と人工物を見分ける方法が提案されている。
まず、恒星間天体が自然に発生した岩石であると仮定した場合の振る舞いを考える。天の川銀河には無数の恒星が存在し、それぞれが異なる速度で異なる方向に運動している。恒星間天体は、これらの恒星系で惑星が形成される過程や、重力の相互作用によって、親となる星系からランダムな方向と速度で宇宙空間に放出されたものだと考えられる。したがって、もしこれらがすべて自然物であれば、地球の近傍を通過する際の速度や飛来する方向には特定の偏りはなく、完全にランダムな分布を示すはずだ。銀河系内の星々の動きを反映した、広範囲にわたる速度分布が観測されると予測される。
次に、これらの天体の一部が地球外文明によって作られた探査機であるという可能性を考えてみる。もし探査機を送り込む目的が、地球のような生命が存在する可能性のある惑星を調査することであれば、その動きはランダムではなく、明確な意図を反映したものになる。探査のターゲットは、太陽のような安定した恒星の周りを公転する惑星である可能性が高い。この場合、探査機を効率的に目的の星系に送り込むためには、打ち上げる母星系と目標の太陽系との相対速度が小さい方が有利である。なぜなら、相対速度が小さいほど、軌道修正に必要なエネルギーが少なくて済み、より短時間で目標に到達できるからだ。このため、もし宇宙船団が存在するのであれば、それらは銀河系内の星々の平均的な運動に近い、比較的ゆっくりとした速度で太陽に接近してくる傾向が強くなるはずだ。つまり、観測される恒星間天体の速度分布において、この「低速」の領域に属する天体の数が、ランダムな場合と比べて統計的に有意に多くなることが予測される。
この二つの仮説を検証する鍵は、多数の恒星間天体を観測し、その速度データを統計的に分析することにある。今後、ヴェラ・C・ルービン天文台をはじめとする次世代の観測施設の稼働により、これまでとは比較にならないほど多くの恒星間天体が発見されると期待されている。これらの天体一つ一つの軌道と速度を精密に測定し、速度ごとの天体の個数をグラフ化することで、その分布の全体像が明らかになる。もしグラフが特定のパターンを示さず、広範囲にわたって均一に近い分布であれば、天体は自然起源である可能性が高い。一方で、もし銀河系の平均運動に近い低速域に、明らかに他の速度域よりも多くの天体が集中するピークが見られた場合、それは人工的な探査機群がその集団に含まれていることを示唆する強力な証拠となりうる。これは、大量のデータの中から特定の傾向や異常なパターンを見つけ出し、その背後にある原因を推測するという、データ分析の基本的なアプローチそのものである。
速度の統計分布に加えて、個々の天体が示す物理的な特徴も、自然物か人工物かを見分ける上で重要な情報となる。例えば、前述のオウムアムアは、いくつかの不可解な特徴を持っていた。一つは、彗星のようにガスや塵を噴出している兆候がないにもかかわらず、太陽からの重力だけでは説明できない非重力的な加速が観測されたことだ。これは、太陽光の圧力を受けて推進する「ソーラーセイル」のような人工的な構造を持つ可能性を示唆する。また、その形状は極端に細長いか、あるいは非常に薄い円盤状であると推定されており、これも自然物としては珍しい特徴である。今後発見される恒星間天体の中に、オウムアムアと同様の奇妙な物理的特徴を持つものが多数見つかり、さらにそれらの天体が統計的に低速の集団に偏って分布していることが確認されれば、それらが人工物であるという仮説の信頼性は飛躍的に高まるだろう。
恒星間天体の起源を探る問題は、もはや空想の域を超え、観測データに基づいた科学的な検証が可能な段階に入っている。将来の観測によって得られるであろう膨大な恒星間天体のカタログは、その統計的な性質を明らかにすることで、その起源に関する重要な手がかりを与えてくれるはずだ。速度分布の偏りや、特異な物理的特徴を持つ天体の存在比率などを詳細に分析することにより、我々は太陽系を訪れる未知の天体が、ただの岩石の集まりなのか、あるいは遠い文明からの使者なのかという問いに対する答えに、一歩近づくことができるだろう。この探求は、宇宙における生命や知性の存在を考える上で、極めて重要な意味を持つものである。