【ITニュース解説】MCP vs Apify vs Custom Agents: When to Use Each
2026年09月30日に「Dev.to」が公開したITニュース「MCP vs Apify vs Custom Agents: When to Use Each」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
大規模言語モデル(LLM)にツールを実行させるには、MCPサーバー、Apify、カスタムエージェントの3つの方法がある。これらは単なる連携、大規模なWeb自動化、複雑な多段階処理と用途が異なり、適切に選ぶことで開発を効率化できる。
ITニュース解説
大規模言語モデル(LLM)は、人間のように言葉を理解し、推論する能力を持っているが、それだけでは現実世界で具体的な「行動」を起こすことはできない。例えば、ウェブサイトから情報を収集したり、データベースを操作したり、外部のシステムと連携してタスクを実行したりする能力は持たない。まるで考えることは得意でも、実際に手足を動かすのは苦手な状態だ。このLLMの「行動できない」という課題を解決するために、主に3つのアプローチが使われている。それらは「MCPサーバー」「Apifyアクター」「カスタムエージェント」と呼ばれ、それぞれ異なる特性を持つため、解決したい問題に応じて適切なものを選ぶことがプロジェクトの成功に不可欠である。間違った選択は、無駄な開発時間や手戻りを生む可能性がある。
まず「MCP(Model Context Protocol)サーバー」について説明する。MCPは特定の製品ではなく、AIクライアントと、開発者が作成したツール(機能、API、データソースなど)が連携するための標準的な「プロトコル」、つまり情報交換のルールを指す。MCPサーバーは、開発者が提供したい機能をこのルールに沿った形式でAIクライアントに公開する役割を担う。例えば、「特定のURLを入力すると、そのウェブページの内容を読み込み、Markdown形式に変換する」という機能をMCPサーバーとして用意すれば、Claude DesktopやCursorといったMCPに対応したAIクライアントが、その機能を認識し、呼び出して利用できるようになる。このアプローチの最大の利点は「相互運用性」である。一度MCPサーバーを構築すれば、複数の異なるAIクライアントからその機能を共通の方法で利用できるため、クライアントごとに個別の連携コードを開発する手間が省ける。MCPサーバーは、既存の機能が「URLをMarkdownに変換する」「ハッシュ値を計算する」「データベースから単純な情報を取得する」といった、明確で単一の操作で完結し、複雑な処理の連携や状態管理が不要な場合に特に適している。費用面では、サーバーの運用コストはかかるが、AIクライアントからの機能呼び出し自体に追加コストはかかりにくい。ただし、サーバーが提供する機能の正確性や、アクセス制限のための認証機能は、開発者が責任を持って管理する必要がある。
次に「Apifyアクター」について説明する。Apifyは、主にウェブサイトからの情報収集(ウェブスクレイピング)やブラウザの自動操作に特化したクラウドベースのプラットフォームだ。Apifyでは、「アクター」と呼ばれる、特定のウェブスクレイピングや自動化タスクを実行するための既成のプログラムユニットが多数提供されている。ウェブスクレイピングは、一見簡単そうに見えるが、ターゲットのサイトがボットからのアクセスを検出・ブロックしたり、サイトの構造が頻繁に変わったり、地理的なアクセス制限があったり、ログインが必要だったりすると、非常に複雑で手間のかかる作業になる。Apifyは、こうしたウェブスクレイピングに必要なプロキシサーバー(IPアドレスを偽装する仕組み)、仮想ブラウザの実行環境、タスクのスケジュール管理、収集したデータの保存場所など、インフラに関連するあらゆる面倒な部分をユーザーに代わって提供してくれる。そのため、開発者はウェブサイトからのデータ取得ロジックそのものに集中できる。数千ページを超えるような大規模なデータを収集する必要がある場合や、強力なボット対策が施されているサイトから情報を取得したい場合、あるいはスケジュール通りに定期的にデータを取得したいが、そのためのインフラを自社で構築・運用したくない場合に、Apifyは非常に強力な選択肢となる。利用料金は、使ったコンピューティングリソースに応じて発生するため、大量のデータを取得するほど費用は高くなる可能性がある。また、Apifyが提供するアクターの中にはコミュニティによって作成されたものもあり、ターゲットサイトの変更によって予期せず機能しなくなるリスクも考慮する必要がある。
そして「カスタムエージェント」について説明する。これは、開発者が自分自身でコードを記述し、LLMからの応答を基に、さらに独自のコードや外部APIを呼び出し、その結果を検証し、次の行動を決定するといった、一連の複雑な「思考と行動のループ」を完全に制御するアプローチである。カスタムエージェントでは、システム全体の制御フローを開発者が完全に所有するため、非常に柔軟で高度な処理を実装できる。例えば、「複数の情報源からデータを収集し、その内容を独自のルールに基づいて検証・調整し、特定の形式で報告書の下書きを作成し、人間による承認プロセスを経てから最終的に公開する」といった、多段階にわたる複雑な意思決定や、処理の途中で状態を保持する必要があるワークフロー、あるいは既存のレガシーシステムとの連携、厳格なビジネスルールやトランザクションのロールバック(問題発生時に処理を元に戻す機能)を組み込みたい場合に最適である。また、データが第三者のサービスを経由することを避けたい、レイテンシ(処理の遅延)を最小限に抑えたい、特定のコンプライアンス要件を満たす必要があるといった、厳しい制約がある場合にもカスタムエージェントが選ばれることが多い。このアプローチは、初期の開発に最も多くの時間とコストを要する。また、処理の失敗に対するリトライ機能、LLMの出力の品質評価、時間の経過によるLLMの応答の変化(プロンプトドリフト)への対応、システム全体の監視など、あらゆる障害や運用上の課題に対する責任を開発者自身が負うことになる。しかし、その分、提供する「ワークフロー自体」が製品の価値や差別化要素となるような場合に、比類ない強みを発揮する。
これらの選択肢をいつ選ぶべきか、簡単な判断基準をまとめてみる。もし解決したいタスクが「単一の、決まった機能呼び出し」で完結するなら、MCPサーバーが最も直接的な解決策となる。もし主な目的が「大規模なウェブスクレイピングやブラウザ自動化」であり、その複雑なインフラ構築を避けたいなら、Apifyアクターの利用を検討すべきだ。そして、「多段階にわたる複雑な意思決定、状態管理、人間による介入を含むワークフロー」が中心となる場合は、カスタムエージェントの構築が必要となる。また、もし複数の異なるAIクライアントから同じ機能を利用させたいのであれば、その機能がどのようなものであれ、MCPサーバーを通して公開することを考えると良い。
現実世界では、これらのアプローチを組み合わせて利用するケースも非常に多い。特に一般的なのが、「MCPサーバーがApifyアクターをラップする」というハイブリッドな構成だ。これは、AIクライアントがMCPプロトコルを介して、開発者が管理するMCPサーバーと通信し、MCPサーバーが受け取った入力の検証、認証処理、あるいは独自のビジネスルールを適用した上で、ApifyアクターをAPIとして呼び出すという流れになる。Apifyアクターは、ウェブスクレイピングのような複雑な作業や、ブラウザ・プロキシなどのインフラ管理といった重い処理を担当し、その結果をMCPサーバーを介してAIクライアントに返す。この組み合わせにより、MCPの持つ「幅広いAIクライアントとの相互運用性」と、Apifyの提供する「手軽なウェブ自動化インフラ」の両方のメリットを享受できる。同時に、MCPサーバー側で入力のバリデーション(不正な入力のチェック)やApifyの利用予算管理などを行うことで、それぞれのデメリットを補い合い、より堅牢で効率的なシステムを構築できる。
各アプローチの構築にかかる時間、実行時の費用、そして開発者が責任を持つ範囲を比較すると、以下のようになる。MCPサーバーは構築に数時間から数日を要し、ランタイムコストは自社のホスティング費用のみで、提供する機能の正確性と認証を開発者が担う。Apifyアクターは、既存のものを利用するなら数分で導入でき、利用したコンピューティングリソースに応じて課金され、入力のマッピングと予算管理が開発者の責任範囲だ。カスタムエージェントは構築に数日から数週間と最も時間がかかり、LLMの利用料とインフラ費用が発生し、リトライ処理、評価、LLM応答の変動への対応など、あらゆる障害モードの管理を開発者が担う。ApifyとMCPのハイブリッド構成は、構築が数時間で可能で、Apifyのコンピューティング費用と、薄いMCPサーバーの費用がかかり、入力検証や費用制限を開発者が管理する。
最終的に、MCPは、開発者が持つ「具体的なツールや機能」を多様なAIクライアントに届けるための標準的な「手段」である。もし既存の機能があるのであれば、それをMCPとしてパッケージ化することで、より多くのAIユーザーに利用してもらう機会が増えるだろう。Apifyは、ウェブスクレイピングやブラウザ自動化といった「複雑で手間のかかるウェブ関連作業」を、専門のインフラを持つサービスに任せる賢い選択肢である。そして、カスタムエージェントは、「ワークフロー自体」が製品の核心であり、そのプロセス全体を非常に細かく制御し、発生するあらゆる技術的な責任を自ら負う覚悟がある場合に、初めて選択すべきアプローチだ。多くのチームは、最初から最も複雑なカスタムエージェントを選ぶのではなく、まずは既存のAPIをラップしたMCPサーバーや、Apifyのようなホスト型サービスといった、より手軽で費用対効果の高い方法から着手し、解決したい課題がより複雑になり、ワークフローそのものが事業の差別化要素となる段階に至って初めて、カスタムエージェントの構築に踏み切る傾向がある。