【ITニュース解説】Load Testing Microservices With C# and NBomber

2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「Load Testing Microservices With C# and NBomber」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

マイクロサービスの品質向上に負荷テストは不可欠。.NETの負荷テストフレームワーク「NBomber」を使えば、C#で簡単にテストシナリオを作成できる。システムの限界や性能のボトルネックを特定し、本番環境での障害を未然に防ぐ。(119文字)

ITニュース解説

マイクロサービスアーキテクチャで構築されたシステムは、データベースや他のサービス、APIなど、多数の独立した部品が連携して動作する。このような複雑なシステムで高い品質を維持するためには、負荷テストが不可欠な要素となる。負荷テストとは、システムに意図的に高い負荷をかけ、どの程度のアクセスや処理に耐えられるかを検証する作業である。これを怠ると、サービス公開後に予期せぬアクセス集中でシステムが停止するなど、深刻な問題につながりかねない。負荷テストを行うことで、システムが処理できる限界性能を把握し、処理が遅くなるボトルネックを特定できる。また、データベースの種類やサービス間の通信方式といった技術的な選択が、性能にどう影響するかを客観的なデータに基づいて判断するための重要な材料にもなる。

.NET環境で開発されたマイクロサービスに対して負荷テストを実施する際、有力なツールの一つとして「NBomber」がある。NBomberの最大の特長は、システム開発で使うC#やF#といったプログラミング言語でテストコードを直接記述できる点にある。これにより、開発者は使い慣れた統合開発環境(IDE)の支援を受けながら、デバッグ機能などを駆使して現実に近い複雑なユーザーの動きをテストシナリオとしてモデル化できる。また、NBomberは特定の通信プロトコルに依存しない設計になっているため、Webサイトで一般的なHTTP通信だけでなく、gRPCやWebSocket、データベースへの接続、メッセージキューといった、マイクロサービスで利用される多様な技術のテストに対応できる柔軟性を持つ。クラウド環境を問わずどこでも実行でき、テスト結果をHTML形式の詳細なレポートとして出力する機能も備えているため、結果の分析も容易である。

NBomberでの負荷テストは、「シナリオ」と呼ばれる単位で定義される。シナリオとは、例えば「ユーザーがログインし、プロフィールページを表示し、商品を注文する」といった一連のユーザー行動を模擬したものである。このシナリオはC#のコードで作成し、テスト実行前にデータベースの準備などを行う初期化処理や、テスト終了後にデータを元に戻す後片付け処理を組み込むことも可能だ。テストシナリオはさらに「ステップ」という小さな単位に分割できる。例えば、「ログイン」と「プロフィール表示」を別々のステップに分けることで、それぞれの処理にかかる時間を個別に計測し、どちらの処理が遅いのかを詳細に分析できる。テストでかける負荷の強度は「シミュレーション」として設定する。例えば、「1秒間に10リクエストを30秒間送り続ける」といった具体的な負荷のかけ方をコードで指定し、システムの応答性能を測定する。

実際のシステムでは、様々なユーザーが同時に異なる操作を行っている。NBomberは、複数のシナリオを並行して実行する機能を持っており、これにより現実世界の複雑な利用状況を再現できる。例えば、「商品を閲覧するユーザー」のシナリオと「商品を注文するユーザー」のシナリオを同時に動かし、システム全体が複合的な負荷にどう反応するかをテストできる。負荷のかけ方も、一定の量をかけ続けるだけでなく、徐々にアクセス数を増やしていく「ランプアップ」や、逆に減らしていく「ランプダウン」といったパターンを設定することで、アクセスが急増した際のシステムの挙動をより現実的に検証することが可能となる。さらに、これらの負荷設定をコードから分離し、JSON形式の設定ファイルで管理することもできる。これにより、テストコード自体を書き換えることなく、環境や目的に応じて負荷のパターンを柔軟に変更できるため、テストの再利用性が高まる。

負荷テストの実行後、NBomberはテスト結果を詳細なレポートとして出力する。HTML形式のレポートでは、テスト中に実行されたリクエストの成功数や失敗数、応答にかかった時間の統計などがグラフで可視化され、システムのパフォーマンスを一目で把握できる。これにより、どの操作に時間がかかっているか、エラーが多発している箇所はどこかといった問題点を特定しやすくなる。また、CPU使用率のような一般的な性能指標だけでなく、「特定の処理が成功した回数」といった業務に特化した独自の指標(カスタムメトリクス)を定義し、計測することも可能だ。さらに、「応答時間が特定のミリ秒を超えないこと」や「エラー率が5%未満であること」といった性能目標を閾値として設定しておけば、テスト結果がその基準を満たさなかった場合に自動でテストを失敗させることができる。これにより、システムの性能劣化を早期に検知し、品質を維持することに繋がる。NBomberは、単に負荷をかけるだけでなく、システムの性能を多角的に分析し、改善に繋げるための強力な機能を提供している。

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