【ITニュース解説】Change Data Capture (CDC) in Data Engineering: Concepts, Tools, and Real-World Implementation Strategies
2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Change Data Capture (CDC) in Data Engineering: Concepts, Tools, and Real-World Implementation Strategies」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Change Data Capture (CDC) は、データベースの変更(追加・更新・削除)をリアルタイムで追跡し、DebeziumやKafkaなどを使い他システムへ連携する技術だ。データ同期やリアルタイム分析に活用され、安定稼働にはスキーマ変更や順序性といった課題への対応が重要となる。
ITニュース解説
今日のデータ活用が急速に進む社会では、企業は常に最新の情報を手に入れ、それを素早くビジネスに活かす必要がある。このような要求に応える技術の一つが「Change Data Capture(CDC)」である。CDCとは、データベースで行われた変更(新しいデータの追加、既存データの更新、データの削除など)をリアルタイムに近い速さで追跡し、その変更情報を他のシステムへ正確に伝える仕組みを指す。従来のデータ処理では、一定時間ごとに大量のデータをまとめて処理する「バッチ処理」が主流だったが、これは最新のデータが反映されるまでに時間差が生じるという課題があった。CDCはこれとは異なり、データが変更された瞬間にその変更情報をストリームとして流すため、リアルタイム分析や複数のサービス間でのデータ同期、クラウドへのデータ移行といった現代的な用途に非常に適している。
CDCはデータソースにおける全ての変更を追跡し、それらを目的システムにキャプチャすることで、複数のシステムや環境間でのデータ整合性と一貫性を保証する。これは、例えば運用中のデータベースの負荷を上げることなく、そのデータを分析用のデータウェアハウスに複製する際に非常に重要となる。オープンソースのCDCプラットフォームであるDebeziumは、CDCを「行レベルの変更を捕捉し、それをイベントとしてコンシューマーにストリーミングする分散サービス」と定義しており、これはイベント駆動型アーキテクチャの実現に理想的な技術だと言えるだろう。
CDCの基本的な考え方は、データベースで行われるトランザクションを、個別の「イベントストリーム」へと変換することにある。これにより、アプリケーションはデータ変更にほぼリアルタイムで反応できるようになる。異なる種類のデータベースシステム間でデータを同期させる場合、例えば、トランザクション処理を行うリレーショナルデータベースのデータを、分析に適したNoSQLデータベースへと複製する際に、CDCは特に大きな価値を発揮する。
CDCの実装にはいくつかの主要な方法があるが、それぞれにメリットとデメリットが存在する。最も効率的とされるのは「ログベースCDC」である。この方法は、データベースが内部的に記録しているトランザクションログ(PostgreSQLのWALやMySQLのbinlogなど)を読み取ることで変更を捕捉する。これらのログには全てのデータベース操作が時系列で記録されているため、低いレイテンシ(遅延)で変更を捕捉でき、ソースデータベースへの影響も最小限に抑えられるのが特徴だ。次に「トリガーベースCDC」がある。これは、データベースのテーブルに変更があった際に自動的に実行される「トリガー」を設定し、変更内容を別のテーブルに記録したり、直接コンシューマーに通知したりする方法だ。実装は比較的シンプルだが、変更のたびにトリガーがSQLを実行するため、データベースへのオーバーヘッドが大きく、書き込み性能に影響を与える可能性がある。最後に「クエリベースCDC」がある。これは、データベースを定期的にポーリング(問い合わせ)して、タイムスタンプやバージョン管理用のカラムを使って変更を検出する方法だ。この方法は非常に分かりやすいが、変更を見落とすリスクがあり、特にデータ削除の検出が難しいという欠点がある。非効率性が課題となるため、ログベースの選択肢がない場合にのみ検討されるべきだ。
一般的なCDCのアーキテクチャは、いくつかの主要なコンポーネントから構成される。まず「ソースデータベース」があり、ここでデータの変更が発生する(例:PostgreSQL)。次に「キャプチャメカニズム」としてDebeziumのようなツールがトランザクションログを解析し、変更イベントを抽出する。抽出されたイベントは「イベントストリーム」であるApache Kafkaへと送られ、信頼性高くバッファリングおよび分散される。最後に「コンシューマー」と呼ばれる下流のシステム(例:Cassandra、データウェアハウス)がKafkaからイベントを受け取り、それらの変更を自身のデータベースに適用する。この一連の流れをまとめると、データ変更がログに記録され、CDCツールがイベントを捕捉し、イベントはKafkaにストリームされ、コンシューマーが変更を適用するという形になる。例えば、仮想通貨の取引データパイプラインでは、取引データがPostgreSQLに挿入され、Debeziumがそれを捕捉し、Kafkaを経由してCassandraに格納され、スケーラブルな分析に利用されるという流れになる。
CDCを実現するためのツールはいくつか存在するが、中でもDebeziumとKafka Connectは広く利用されている。Debeziumは、ログベースCDCに特化したオープンソースプラットフォームであり、Kafkaと連携するように設計されている。PostgreSQL、MySQL、MongoDBといった多様なデータベースに対応するコネクタを提供し、行レベルの変更をイベントとして捕捉する。Debeziumは、データベースの初期状態のスナップショットを作成した後、継続的に発生する変更をストリームするため、データの一貫性とスケーラビリティを保証する。Kafka Connectは、Apache Kafkaと外部システムとの統合を容易にするためのフレームワークである。Debeziumのようなソースコネクタを使用してデータをキャプチャし、Cassandraのようなターゲットシステムにデータを書き込むためのシンクコネクタを利用する。
CDCの具体的な実装例として、仮想通貨の時系列データパイプラインを構築するシナリオを考える。ここでは、PostgreSQLからCassandraへ、DebeziumとKafkaを使って取引データを複製する。この構築には、Ubuntuサーバー上にDockerとDocker Composeをインストールし、PostgreSQL、Zookeeper、Kafka、Kafka Connect、Cassandraといったサービスをdocker-compose.ymlファイルを用いて連携させる。PostgreSQLサービスは、Debeziumがログを読み取れるように特定のCDC関連設定を施す。KafkaとZookeeperはイベントストリーミングの基盤となり、Kafka ConnectはDebeziumのコネクタを管理して変更イベントを捕捉し、指定されたKafkaトピックに送信する。そして、Cassandraはスケーラブルなデータストレージとして機能する。
この環境が立ち上がったら、次にDebeziumのコネクタを設定する。まず「PostgreSQLソースコネクタ」を設定する。これは設定ファイルを使って、PostgreSQLデータベースから特定のテーブルの変更を捕捉し、dbzというプレフィックスを持つKafkaトピックに公開するよう指示する。このコネクタは、PostgreSQLの論理デコーディング機能を利用し、専用のレプリケーションスロットとパブリケーションを使うことで効率的に変更を捉える。設定ファイルを作成したら、curlコマンドを使ってKafka ConnectのREST API経由でこのコネクタを登録する。次に「Cassandraシンクコネクタ」を設定する。これは設定ファイルで、先のKafkaトピックからデータを受け取り、それをCassandraデータベースの対応するテーブルに書き込むように構成する。この設定では、Kafkaから送られてくるイベントのどのフィールドをCassandraのどのカラムにマッピングするかを指定する。このシンクコネクタも同様にcurlコマンドで登録することで、パイプラインが完成する。
パイプラインが構築され、コネクタが設定されたら、動作をテストする。まず、PostgreSQLコンテナに入り、データベースに接続し、テーブルを作成して新しい取引データを挿入する。次に、Cassandraコンテナに入り、Cassandraに接続し、対応するテーブルをクエリすることで、PostgreSQLで挿入したデータがCassandraに正しく複製されていることを確認する。このようにして、データのリアルタイムな同期が実現される。
CDCパイプラインを構築する際には、いくつかの課題に直面することがある。それぞれの課題には解決策が存在する。一つ目は「スキーマ進化」である。これは、データベースのテーブル構造が変更された場合に、下流のコンシューマーがその変更に対応できずに問題が発生する可能性がある。解決策としては、「スキーマレジストリ」を利用して、スキーマの互換性を強制することが挙げられる。これにより、スキーマ変更が正しく管理され、コンシューマーが予期せぬエラーを起こすのを防ぐ。
二つ目は「イベント順序」の問題である。特に分散システムにおいて、データ変更の発生順序が正しく維持されないと、データが矛盾した状態になる可能性がある。Kafkaはパーティション内ではイベントの順序を保証する仕組みを持っているため、関連するイベントが同じパーティションに送られるように「キーベースのパーティショニング」を用いることが重要となる。Debeziumは、一連の変更をトランザクション単位でグループ化してイベントとして出力する。さらに、偶発的な順序の乱れに対応できるよう、「べき等なコンシューマー」(同じイベントを複数回適用しても結果が変わらないコンシューマー)を設計することを推奨する。
三つ目は「遅延データ」の課題である。これは、イベントが想定よりも遅れて到着することで、リアルタイム分析における集計結果やシステムの状態が正しく更新されない可能性を指す。この問題に対処するためには、ストリーム処理エンジンで「ウォーターマーキング」を利用し、データの遅延許容範囲を定義する方法がある。また、データを格納するシンクシステムを「べき等」に設計し、より新しいタイムスタンプを持つデータで既存のレコードを更新できるような仕組みを導入することが効果的である。
四つ目は「フォールトトレランス」(耐障害性)である。コネクタの障害やネットワークの不具合が発生した場合に、データが失われたり、重複してしまったりする可能性がある。Debeziumは「at-least-once(少なくとも一回)デリバリー」を保証しているため、イベントが重複して届けられる可能性がある。この重複を排除するためには、Cassandraの「upsert」(更新と挿入を同時に行う)のようなべき等なシンクを利用することが有効である。Kafkaはデータ複製によって耐久性を確保している。また、PostgreSQLにおいてレプリケーションスロットが蓄積されることを防ぐため、高可用性(HA)構成を導入することも重要だ。監視ツールを活用し、障害を事前に検出することも有効である。
結論として、Change Data Capture(CDC)は、リアルタイムデータエンジニアリングの分野において非常に革新的な技術であり、複数のシステム間でのシームレスなデータ同期を可能にする。Debezium、Kafka、そして各コネクタを組み合わせることで、PostgreSQLからCassandraへデータを効率的に複製する仮想通貨パイプラインの例が示すように、堅牢なデータ基盤を構築できる。スキーマの進化、イベントの順序、遅延データ、そしてフォールトトレランスといった、実際に直面するであろう課題に対する具体的な解決策を理解し適用することで、システムエンジニアは信頼性の高いCDCパイプラインを構築することが可能となる。データに対する要求が高まり続ける現代において、CDCはアジャイルでデータ駆動型の組織にとって、今後も不可欠なツールであり続けるだろう。