【ITニュース解説】These Key Features of GraphQL make it Unique among Other API Technologies

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「These Key Features of GraphQL make it Unique among Other API Technologies」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

GraphQLは、従来のAPI(RESTなど)で発生する不要なデータ取得や複数リクエストの問題を解決するためFacebookで開発された。クライアントが必要なデータを正確に要求でき、データ取得(クエリ)、変更(ミューテーション)、リアルタイム更新(サブスクリプション)を効率的に行う仕組みだ。

ITニュース解説

現代のアプリケーション開発において、特にモバイルデバイス向けでは、サーバーからクライアントへデータをどのように取得するかが非常に重要である。長年にわたり、API(Application Programming Interface)設計の標準はREST(Representational State Transfer)であったが、RESTにはしばしば不満が伴った。これらの課題が、新しい考え方と強力な代替技術であるGraphQLの誕生へとつながったのである。

GraphQLが導入された理由を理解するには、それが解決しようとした課題を知ることが不可欠である。従来のAPIアーキテクチャ、例えばRESTは、主に二つの非効率的なパターンに悩まされていた。一つは「オーバーフェッチ」であり、もう一つは「アンダーフェッチ」である。 オーバーフェッチとは、APIエンドポイントが、クライアントアプリケーションが実際に必要とするデータよりも多くのデータを返してしまう現象を指す。例えば、あるユーザーの名前だけが必要なのに、サーバーからはそのユーザーの20ものフィールドを含む詳細な情報(住所、電話番号、生年月日など)が送られてくるような場合だ。これは、不要なデータがネットワーク帯域を無駄に消費し、クライアント側でもその不要なデータを処理するための余計な負担(オーバーヘッド)が発生するため、非常に非効率である。 一方、アンダーフェッチとは、その逆の問題であり、単一のAPIエンドポイントでは必要なデータがすべて提供されないために、クライアントが複数のAPI呼び出しを強制される状況を意味する。例えば、ブログ記事とその著者の情報、さらにその記事に対するコメントをすべて表示したい場合、アプリケーションはまず記事を取得するリクエスト、次に著者の情報を取得するリクエスト、そしてコメントを取得するリクエストと、三つの連続したリクエストを行わなければならないかもしれない。このような「リクエストの滝」と呼ばれる連続的なデータ取得は、特にモバイルネットワークのような速度が遅く不安定な環境では、データのロード時間を著しく増加させ、ユーザー体験を損なう原因となっていた。 これらの非効率性は、モバイルを中心とした現代の世界において特に深刻な問題であり、新しい解決策が求められる状況を作り出した。

GraphQLの物語は、2011年から2012年頃にFacebookで始まった。当時のFacebookは、HTML5ベースのモバイルアプリから完全にネイティブな体験を提供するアプリへと大きく方向転換を進めていた。その際、既存のRESTライクなAPIが、新しいモバイル環境では非常に非効率であるとすぐに気づいたのだ。複数のリクエストが必要になったり、大量の不要なデータが送られたりすることで、モバイルネットワーク上でのロード時間が遅くなり、ユーザー体験が悪化するという問題に直面した。 この課題に対応するため、社内チームは、特にネイティブiOSアプリケーション向けにより効率的なデータ取得APIを開発する任務を与えられた。このプロジェクトが発展してGraphQLとなり、その最初のバージョンは2012年に、再設計されたFacebookのiOSアプリのニュースフィードを動かすために導入された。 この誕生経緯は非常に重要だ。GraphQLは単なる学術的な研究から生まれたものではなく、切迫したビジネス上の問題を解決するための実用的な解決策として作られた。クライアントアプリケーションのパフォーマンス要求がその主要な推進力であったのだ。

GraphQLの中心には、クライアントがAPIと対話するための三つの異なる操作タイプがある。これらは「クエリ」「ミューテーション」「サブスクリプション」と呼ばれている。

一つ目の「クエリ」は、データを読み込むための操作であり、読み取り専用である。GraphQLのクエリでは、クライアントは取得したいデータフィールドを宣言的に、つまり「必要なものを正確に」指定する。すると、サーバーはクエリで指定された構造と完全に一致するJSONオブジェクトとしてデータを応答する。この仕組みにより、前述のオーバーフェッチとアンダーフェッチの問題を単一のリクエストで解決できる。 例えば、特定のユーザーの「名前」と「メールアドレス」だけを取得したい場合、クライアントは「ユーザーIDが123のユーザーから、名前とメールアドレスをください」と明確に要求する。サーバーはそれに対して、指定されたユーザーの名前とメールアドレスのみを返すため、不要なデータは一切送信されない。これにより、ネットワーク帯域の無駄が省かれ、クライアント側の処理も効率化される。

二つ目の「ミューテーション」は、データの作成、更新、削除といった全ての書き込み操作に使われる。クエリがデータの読み込みに使われるのに対し、ミューテーションはデータを変更する役割を担う。 ミューテーションの重要な特徴は、単一のリクエストに含まれる複数のミューテーション操作が、サーバー側で順次実行されることが保証されている点である。これは、複数の書き込み操作が同時に実行された場合に発生する可能性のある「競合状態(レースコンディション)」を防ぎ、データの変更による副作用を予測可能にする上で非常に有効である。 例えば、新しいユーザーを作成したい場合、クライアントは「名前にJohn Doe、メールアドレスにjohndoe@example.comを持つ新しいユーザーを作成し、その作成されたユーザーのID、名前、メールアドレスを返してください」と要求できる。同様に、既存のユーザー情報を更新したり、特定のユーザーを削除したりする際にもミューテーションを使用する。更新の場合も削除の場合も、その操作によって変更されたデータや、削除されたユーザーの情報を応答として受け取ることができる。

三つ目の「サブスクリプション」は、リアルタイムでのデータ更新を扱うために設計された操作タイプである。クライアントは、サーバー上の特定のイベントを「購読」することができる。例えば、「新しいコメントが投稿された」というイベントを購読する、といった具合だ。 このイベントが発生すると、サーバーはWebSocketsなどの技術を使って確立された「持続的な接続」を介して、更新されたデータをクライアントにプッシュする。これにより、クライアントはサーバーに変更を問い合わせる必要なく、自動的に最新の情報を受け取ることが可能になる。 例として、特定のブログ記事に新しいコメントが追加されるたびに更新を受け取りたい場合、クライアントは「投稿IDが123のブログ記事に新しいコメントが追加されるたびに、そのコメントのID、内容、そして著者の名前を教えてください」とサブスクリプションを送信する。一度このサブスクリプションを確立すると、サーバーとの接続は維持され、ID123の投稿にコメントが追加されるたびに、クライアントは自動的に新しいコメントの詳細を受け取ることになる。これにより、チャットアプリケーションやリアルタイムの通知機能など、即座のデータ同期が求められる場面で非常に強力な機能を発揮する。

このように、GraphQLは、従来のAPIが抱えていた非効率性を克服し、クライアントが必要とするデータを正確に、効率的に取得・操作できることを目指して開発された。クエリ、ミューテーション、サブスクリプションという強力な操作タイプを通じて、データの読み取りから書き込み、リアルタイム更新までを一貫した方法で提供することで、特にモバイル環境におけるアプリケーションのパフォーマンスと開発効率を大幅に向上させる独自の価値を持っているのである。

関連コンテンツ