【ITニュース解説】Stop Paying Per-Funnel. Here's the Math on Self-Hosting.
2026年10月02日に「Dev.to」が公開したITニュース「Stop Paying Per-Funnel. Here's the Math on Self-Hosting.」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
オープンソースのファネル構築ツール提供者が、自身の料金(基本料+総売上割合)と競合(固定料金)を比較。月間総売上が約1.68万ドルを超えると、自社サービスが高額になり自己ホスティングが有利であると公開。成長企業は固定費で運用できる自己ホスティングへ切り替えることで、オープンソースが柔軟な選択肢を提供すると解説。
ITニュース解説
このニュース記事は、ウェブサイトで顧客を特定の行動に誘導する「ファネルビルダー」と呼ばれるソフトウェアを開発する人物が、自身のサービスと競合サービスの価格設定を比較し、その結果から顧客への誠実なアドバイスを提示している。特に、システムエンジニアを目指す初心者にとっては、ソフトウェアやサービスのビジネスモデル、コスト構造、そしてオープンソースの価値を理解する上で非常に参考になる内容である。
筆者は自身の開発したファネルビルダーのホスティング版を、「月額29ドルの基本料金に加え、そのファネルを通じて発生した総流通総額(GMV:Gross Merchandise Volume、売上総額のようなもの)の1%」という料金体系で提供している。GMVとは、顧客がそのファネルビルダーを使ってどれだけの売上を上げたかを示す指標である。一方、競合他社は、利用可能な機能や規模に応じて「月額97ドル」「月額197ドル」「月額297ドル」といった固定の月額料金を設定している。これは、利用するプランによって料金が変わる「ティア制」と呼ばれる一般的な料金体系である。
筆者は、この二つの料金体系がどの時点で逆転するか、つまり自分のサービスが競合よりも高くなるかという計算を行った。例えば、競合の月額197ドルの「Scale」プランと比較すると、筆者のサービスはGMVが月額16,800ドルを超えると高くなることが判明した。月額GMVが2,000ドルの場合、筆者のサービスは月額49ドルだが、月額100,000ドルに達すると月額1,029ドルにもなる。これは、競合の固定料金プランと比較して5倍以上の料金であり、筆者自身も「これは誤差ではなく、もはや異なる製品カテゴリーの料金だ」と述べている。
なぜ、このように売上の一部を支払う「パーセンテージ課金」という方式が採用されるのだろうか。その理由は、事業を始めたばかりの小規模な顧客にとって、非常に有利だからである。例えば、月額GMVが2,000ドルの場合、筆者のサービスは49ドルで利用できるが、競合の固定料金プランでは最低でも97ドル、一般的な「Scale」プランでは197ドルかかる。月額197ドルの支払いとなると、月額2,000ドルの売上に対してその10%をツールに費やすことになり、これは新規事業にとって大きな負担となる。パーセンテージ課金は、実際に売上が発生した後にその一部を支払うため、事業が軌道に乗るまでの初期費用やリスクを大幅に抑えることができる。つまり、固定料金が将来の利用容量に対して前払いする形であるのに対し、パーセンテージ課金は実際に得た価値に応じて支払う形である。これにより、ベンダー側も、固定料金では顧客になり得なかった小規模な層から収益を得ることができる。
しかし、このパーセンテージ課金は、事業が成長し、売上(GMV)が一定のラインを超えると「敵対的」なものに変わる。その根本的な理由は、ベンダー側のコスト構造と顧客が支払う金額の間にズレが生じるからである。例えば、筆者のファネルビルダーが500ドルの注文を処理するのも、20ドルの注文を処理するのも、サーバーの利用料やインフラの維持にかかるコストはほぼ同じである。ベンダーのインフラコストは、処理するリクエスト数やデータ量に比例するが、取引の金額そのものには直接比例しない。そのため、顧客のGMVが大きくなればなるほど、ベンダー側のコストがそれほど増えていないにもかかわらず、顧客の支払額は際限なく増えていくことになる。顧客からすれば、自社の成長に対して不当に高い料金を支払わされているように感じられ、結果として料金の再交渉を求めるか、他のサービスへ乗り換える(「チャーン」と呼ばれる)原因となる。パーセンテージ課金は、顧客が小規模なままであるという前提のもとで機能するが、顧客が成長した場合、その料金体系自体が顧客にとって足かせとなってしまう。
そこで筆者が提示する第三の選択肢が「セルフホスティング」である。筆者のファネルビルダーはオープンソースソフトウェアとして提供されており、ライセンス料は無料である。オープンソースとは、ソフトウェアの設計図であるソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に使用、改良、再配布できるソフトウェアを指す。そのため、顧客はホスティングサービスに料金を支払い続ける代わりに、自身でサーバーを用意し、その上でソフトウェアを運用できる。筆者は、月額GMVが16,800ドルを超えるような顧客に対しては、正直なところ「私に支払うのをやめ、自分で運用しなさい」と推奨している。セルフホスティングの場合、かかる費用は、月に20ドルから60ドル程度のサーバー費用とデータベース(Postgres)の費用、そして時折のアップグレード作業や自身のバックアップ管理の手間である。これらの費用は売上(GMV)の増加に連動せず、固定的な出費となる。
このセルフホスティングという選択肢こそが、筆者が考えるオープンソースの説得力あるメリットである。顧客は、自身の事業が成長し、ベンダーのホスティング料金が高すぎると感じた場合、いつでも自身のデータを取り出し、同じオープンソースのコードをより安価な環境で運用することができる。これにより、顧客はベンダーの料金設定に縛られる「ベンダーロックイン」という状態から解放される。ベンダー側から見ても、顧客がいつでもセルフホスティングに移行できるという事実は、不当に高いホスティング料金を設定できないという制約となり、それが逆にホスティングプランの信頼性を高めることにつながる。システムエンジニアを目指す者にとっては、このようなオープンソースの活用は、企業のコスト削減や柔軟なシステム運用を実現するための重要な選択肢であることを示している。
この比較は料金のみに焦点を当てており、各プランに含まれる機能やユーザー数、制限事項などは考慮していない点には注意が必要である。また、クレジットカード決済などで発生する決済手数料は、どちらのサービスでも別途かかる費用として除外されている。競合の料金は将来的に変動する可能性があり、セルフホスティングのインフラ費用もあくまで推定値である。しかし、これらの前提条件を考慮しても、筆者が提示する算術的な結論は変わらない。パーセンテージ課金は、事業を始めたばかりの人々にとっては正しい選択肢だが、成功して成長した人々にとっては間違った選択肢となる。そして、サービスを提供するベンダーは、顧客が事業のどの段階にいるかに応じて、最適な選択肢を正直に提示すべきだというのが、この記事の重要なメッセージである。