【ITニュース解説】A Complete Guide to Karpenter: Everything You Need to Know
2025年09月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「A Complete Guide to Karpenter: Everything You Need to Know」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
KarpenterはAWSが開発したKubernetes向けオープンソースツールだ。コンテナが動くサーバーのリソースを、実際の需要に合わせて自動で増減させる。これにより、手動設定の手間をなくし、コスト削減と運用効率向上を実現する。
ITニュース解説
Karpenterは、Kubernetesというアプリケーションを動かすシステムにおいて、コンピューターリソースの自動調整を行うためのオープンソースツールだ。現代のKubernetes環境では、アプリケーションの負荷が常に変動するため、必要なコンピューターの数を固定してしまうと、リソースが無駄になったり、逆に処理が滞ったりする問題があった。Karpenterは、このような課題を解決するために開発された。
Karpenterは、AWS(Amazon Web Services)によって開発されたオートスケーラーで、リアルタイムの需要に応じて、Kubernetesクラスターに適切なサイズのコンピューターを動的にプロビジョニングする。これにより、手動でコンピューターの数を調整したり、事前に「このくらいのコンピューター群が必要だ」と定義したりする手間がなくなる。結果として、コンピューターリソースの無駄を減らし、運用の負担も大幅に軽減できる。KarpenterはAWSのEKS(Amazon Elastic Kubernetes Service)で最も安定して動作するが、コミュニティの取り組みによってAzureやGKE(Google Kubernetes Engine)など他のクラウド環境でも利用が試みられている。
Karpenterの仕組みは、Kubernetesクラスター内で、まだどのコンピューターにも割り当てられていない「保留中のPod(アプリケーションの最小単位)」を常に見守ることから始まる。Podが保留中になるのは、クラスター内にPodを動かすのに十分なCPUやメモリといったリソースがない場合がほとんどだ。Karpenterは、この保留中のPodが必要とするリソース(CPU、メモリ、特定の条件など)を詳しく分析し、それにぴったり合う最適なコンピューターをクラウドプロバイダーに要求して自動的に用意する。
Karpenterの動作は以下のライフサイクルをたどる。まず、保留中のPodを「検知」する。次に、そのPodがどんなリソースを必要としているか「制約を評価」する。その情報をもとに、最適な「インスタンスタイプ(コンピューターの種類)」や「アベイラビリティゾーン(データセンターの場所)」、「容量タイプ(オンデマンドかスポットかなど)」を「マッチング」させる。最適なコンピューターが見つかったら、クラウドプロバイダーのAPIを使って実際に新しいコンピューターを「プロビジョニング(準備)」する。新しく用意されたコンピューターは、必要な設定が施されてクラスターに参加し、「ノードブートストラップ」が完了する。そして、準備ができたコンピューターにPodが「スケジューリング(割り当て)」され、動き始める。もしコンピューターが一定時間アイドル状態(何もPodが動いていない状態)になったら、コスト削減のために自動で「デプロビジョニング(削除)」される。
KarpenterをAWS EKSクラスターに導入するには、いくつかの準備と手順が必要だ。まず、すでに稼働しているEKSクラスターがあり、それにアクセスできる状態であること、AWSのIAM OIDCプロバイダーという認証機能が有効になっていること、kubectlやawscli、eksctl、helmといったコマンドラインツールがインストールされていることが前提となる。導入ステップとしては、まずKarpenterがコンピューターをプロビジョニングできる場所を認識させるために、利用するサブネット(ネットワークの区画)に特定のタグを付ける。次に、KarpenterがAWSのEC2サービスと連携してコンピューターを管理できるよう、必要な権限を持ったIAMロール(アクセス許可の役割)を作成する。その後、Helmというツールを使ってKarpenterのソフトウェアをKubernetesクラスターにインストールする。この際、クラスター名やAPIサーバーのエンドポイント、作成したIAMロールの情報を設定ファイルで指定する。最後に、Karpenterに「どのようなコンピューターをどのように用意するか」を指示するための設定ファイル「NodePool」と「NodeClass」を作成し適用する。NodeClassはネットワークやセキュリティグループといったインフラ設定を定義し、NodePoolはインスタンスの種類、ゾーン、CPUやメモリの上限、アイドル時の削除ルールなど、Podの要件に合わせたコンピューターの条件を定義する。これらの設定が完了したら、実際にたくさんのPodを必要とするアプリケーションをデプロイしてみて、Karpenterが新しいコンピューターを自動で用意し、Podをそこに割り当てることを確認する。
KarpenterのNodePoolは、プロビジョニングされるコンピューター(ノード)の振る舞いや制約を具体的に定義する中心的な設定だ。NodePoolは、使うインスタンスタイプ、可用性ゾーン、CPUやメモリの合計最大値、アイドル状態のコンピューターを削除するまでの時間(ttlSecondsAfterEmpty)といった多くの属性を制御する。NodePoolの設定ファイル(YAML形式)では、「requirements」セクションで特定のインスタンスタイプやゾーンを指定することで、コスト、性能、可用性のバランスを調整できる。「labels」でノードにラベルを付けると、特定のワークロードをそのノードに誘導しやすくなる。「taints」で「汚染」を設定すれば、特定のPodしか割り当てられないように制御できる。「limits」でCPUとメモリの総量に上限を設定することで、予期せぬコスト増加を防ぐ。「ttlSecondsAfterEmpty」は、アイドル状態のノードが自動削除されるまでの時間を設定し、無駄なリソースを削減する。この設定ファイルを適用することで、Karpenterはそれを設計図としてノードのプロビジョニングを行う。
オートスケーリングを最大限に活用するには、NodePoolの適切な設定が重要だ。需要が変動するアプリケーションや、一時的に大量のリソースが必要なバッチ処理に向いている。オートスケーリング用のNodePoolを設定するには、まず汎用的なインスタンスタイプをいくつか選び、使用するゾーンや容量タイプ(オンデマンドかスポットか)を指定する。このNodePoolでプロビジョニングされるノードに特定のラベルやTaintを設定し、特定のワークロードだけがこれらのノードにスケジュールされるように制御する。CPUやメモリの「limits」を設定し、このNodePoolがプロビジョニングできる最大リソース量を制限することも不可欠だ。アイドル状態のノードが削除されるまでの時間「ttlSecondsAfterEmpty」も設定し、コスト効率を高める。これらの設定をYAMLファイルに記述して適用した後、実際にオートスケーリングをテストするには、既存のクラスターの容量を超える数のPodを必要とするアプリケーションをデプロイする。Karpenterはこれを検知し、NodePoolの設定に基づいて新しいノードをプロビジョニングする。NodePoolにTaintを設定した場合、Podの設定にそのTaintを「容認する(tolerations)」設定を追加する必要がある。これにより、指定したTaintを持つノードにPodがスケジュールされるようになる。ノードやPodがどのようにプロビジョニングされ、スケジュールされているかは、kubectl get nodesやKarpenterのログなどで監視できる。
Karpenterを効果的に利用するためには、いくつかの良い実践方法がある。Karpenterがノードをプロビジョニングするサブネットやセキュリティグループには、正確なタグ付けが必要だ。特にAWSではkarpenter.sh/discoveryというタグが重要になる。次に、GPUワークロード、バッチ処理、開発環境用など、ワークロードの種類に応じて別々のNodePoolを定義し、それぞれに適切なTaintやラベルを設定する。これにより、特定のワークロードを専用のノードに割り当て、リソースの競合を防ぐことができる。コスト削減のためには、一時的で中断されても問題ないワークロードには「スポットインスタンス」の活用を検討する。NodePoolの設定でkarpenter.sh/capacity-typeにspotを含めることで、Karpenterは自動的にスポットインスタンスを選択するようになる。また、ノードのライフサイクルを管理するためのTTL(Time-To-Live)設定を戦略的に行うことも重要だ。ttlSecondsAfterEmptyでアイドルノードの削除時間を、ttlSecondsUntilExpiredでノードの有効期限を設定することで、無駄なリソースを削減しつつ、頻繁なノードの起動・停止を避けることができる。最近のKarpenterではconsolidationPolicy: WhenUnderutilizedのような高度な統合戦略もサポートされており、リアルタイムの利用状況に基づいて効率的にノードが削除される。NodePoolに設定したTaintやラベルは、Pod側のtolerationsやnode selectorsと組み合わせることで、ワークロードが意図しないノードに配置される「ノードドリフト」を防ぐのに役立つ。また、Karpenterによるノードの過剰なプロビジョニングを防ぎ、コストを管理するためには、NodePoolの「limits」設定でCPUやメモリの最大値を厳しく設定することが不可欠だ。最後に、Karpenterの動作状況を把握するためには、KarpenterのログやKubernetesのイベントを常に監視し、オートスケーリングの決定が期待通りに行われているか確認することが重要となる。
Karpenterは有用なツールだが、いくつかの制約や課題も抱えている。比較的新しいため、Cluster Autoscalerのような長年の実績を持つツールに比べると、まだ成熟度が低い側面がある。特にAWS以外でのクラウドプロバイダーでのサポートには差があり、AzureやGKEでの利用はコミュニティ主導や実験的な段階にとどまることが多い。AWS以外の環境では、バグに遭遇したり、特別な設定が必要になったりする可能性がある。AWS環境では、Karpenterの利用にはIAMの複雑な権限設定が必要で、これも初心者がつまずきやすい点となる。また、Karpenterは「リアクティブなスケーリング」(問題が起きてから対応するスケーリング)に特化しており、事前にスケジュールされたスケーリングや、将来の需要を予測してスケーリングする機能は持っていない。設定はYAMLファイルベースで柔軟だが、その分学習曲線があり、誤った設定は予期せぬリソース消費につながるリスクも存在する。クロスプラットフォームサポートについて、KarpenterはAWS EKSでは完全にサポートされており、安定して利用できる。一方で、Azure AKSやGoogle Kubernetes Engine(GKE)では公式サポートのレベルが低く、ワークロードアイデンティティ連携やカスタムブートストラップスクリプトの準備が必要になるなど、本番環境での利用は現在進行形の段階にある。したがって、重要なワークロードでKarpenterを利用する場合、現状ではAWS EKSが最も信頼性の高い選択肢だと言える。
Karpenterがニーズに合わない場合、他のオートスケーリングツールも検討できる。「Cluster Autoscaler」はKubernetesの標準的なコンポーネントで、Podのリソース要件に基づいてクラスター内のノード数を自動調整する。安定性と成熟度が高く、EKS、GKE、AKSといったマネージドKubernetesプラットフォームとよく連携する。ただし、事前にノードグループを定義する必要があり、Karpenterほど動的にインスタンスタイプを選ぶ柔軟性はない。「KEDA(Kubernetes Event-Driven Autoscaler)」は、イベント駆動型のアプリケーション向けに設計されたオートスケーラーだ。Kafkaのラグやキューの長さなど、50種類以上のスケーラーをサポートし、外部からのトリガーやカスタムメトリクスに基づいてアプリケーションをスケーリングする。KEDA自体はノードをプロビジョニングしないため、ノードを増やすにはKarpenterやCluster Autoscalerと組み合わせて使う必要がある。「GKE Autopilot」は、Google Kubernetes Engineのフルマネージドモードだ。Googleがノードの管理も担当するため、ユーザーはワークロードをデプロイするだけで、ノードのプロビジョニング、スケーリング、セキュリティが自動で行われる。リソースの最適化が図られ、実際のPodのリソース使用量に基づいて課金されるが、GCP専用であり、低レベルなカスタマイズが制限される場合がある。「AWS Fargate」は、コンテナ向けのサーバーレスコンピューティングエンジンで、EC2インスタンスやKubernetesノードを管理することなくPodを実行できる。Podごとにリソースが自動的にプロビジョニングされ、需要に基づいてスケーリングするため、インフラのサイジングや管理が不要になる。運用の手間を減らせるが、特定のワークロードには対応していない場合がある。
KarpenterはKubernetesクラスターのノード最適化と管理に特化したオートスケーラーだが、DevZeroのようなプラットフォームと組み合わせることで、より広範な最適化とコスト削減が可能になる。Karpenterがノードの数を適切に調整するのに対し、DevZeroはアイドル状態のワークロードや、プロビジョニングされたGPUなどのリソースの利用率が低いといった、クラウドコストの無駄をさらに削減することを目指す。DevZeroの主な利点は、単一のマルチクラウドプラットフォームとしてEKS、AKS、GKEなどあらゆるKubernetesをサポートすること、ライブマイグレーションやビンパッキングによってノード数をさらに最適化すること、メモリとコンピューティングの両方でワークロードのリサイズをリアルタイムで行うこと、CPUとGPUの両方で測定と最適化をサポートすること、柔軟なポリシー管理によって最適化の対象外とするワークロードやノードを設定できることなどだ。Karpenterがノードのプロビジョニングとスケーリングに焦点を当てる一方で、DevZeroはKubernetesクラスター全体の最適化に包括的に取り組み、追加の最適化レイヤーとコスト削減を提供することで、Kubernetes関連コストを最大80%削減できる可能性があるとされている。
Karpenterは、Kubernetesクラスターのスケーリング方法を大きく変える可能性を秘めたツールだ。リアルタイムで適切なサイズのコンピューターを動的にプロビジョニングする能力と、マルチクラウド対応の進展により、高い俊敏性と効率性を求めるチームにとって魅力的なオートスケーラーと言える。Karpenterはノードのプロビジョニングとスケーリングを自動化し、リソースの無駄を減らし、運用上の負担を軽減する。さらに、DevZeroのような開発者プラットフォームと組み合わせることで、運用の効率化だけでなく、開発者の生産性向上とコスト削減も両立できる。