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【ITニュース解説】Building a Mobile App with Ionic, Vue, and Clerk

2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building a Mobile App with Ionic, Vue, and Clerk」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

IonicとVueでモバイルアプリ開発を行い、Clerkでサインイン・サインアップ、セッション管理など認証機能を実装する。CapacitorでiOS/Androidへのデプロイ方法やプラットフォーム固有の設定についても解説している。

ITニュース解説

この解説では、Ionic、Vue、Clerkという主要な技術を組み合わせてモバイルアプリケーションに認証機能を実装する具体的な方法について、システムエンジニアを目指す初心者が理解しやすいように説明する。現代のWeb技術を用いて、本格的かつセキュアなモバイルアプリの認証システムを構築するプロセスを、基礎から応用まで順を追って解説していく。

まず、プロジェクトの基盤となる技術要素を簡単に紹介する。Ionicは、HTML、CSS、JavaScriptといったWeb標準技術を使いながら、iOSやAndroidのネイティブアプリのような洗練されたユーザーインターフェース(UI)を構築できるフレームワークである。Vue.jsは、直感的で効率的な開発を可能にするJavaScriptフレームワークであり、アプリケーションのUI層を構築するのに用いられる。Capacitorは、開発したWebアプリケーションをネイティブのモバイルアプリ(iOSやAndroid)としてパッケージングし、実デバイスにデプロイするためのブリッジツールである。これにより、単一のコードベースからWebとモバイルの両方のプラットフォームに対応したアプリケーションを開発できる。そしてClerkは、ユーザー認証と管理を専門とするサービスであり、ユーザー登録、ログイン、ログアウト、パスワードリセット、メール検証など、認証に関する複雑な機能を簡単にアプリケーションに統合することを可能にする。

このプロジェクトの核心は、「ヘッドレス認証」というアプローチを採用している点にある。これは、Clerkが提供する既成のUIコンポーネントを直接使用せず、開発者自身がサインインやサインアップ画面のデザインとレイアウトを完全に自由に作成し、その裏側でClerkのAPIを呼び出して認証ロジックを実行する方法を指す。このアプローチにより、アプリケーションのルックアンドフィールをブランドやユーザー体験の要件に合わせて完全にカスタマイズできるという大きな利点がある。

構築されるアプリケーションは、以下のような主要な機能を提供する。ユーザーが新しいアカウントを作成する際、メールアドレス、氏名、パスワードを入力する。その後、Clerkが提供するCAPTCHAによる人間認証のステップを経て、登録したメールアドレスに送信される検証コードを入力することで、アカウント作成プロセスが完了する。登録が成功すると、ユーザーは自動的にプロフィールページに遷移し、自身のメールアドレスやユーザーIDといった個人情報が表示される。さらに、モバイルアプリケーションにおいて非常に重要な機能である「セッションの永続性」も実装される。これは、一度ログインした後にアプリを終了しても、次回アプリを起動した際にユーザーが自動的に再認証され、ログイン状態が維持されることを意味する。もちろん、ユーザーはいつでもアプリからサインアウトでき、必要に応じて再度ログインすることが可能である。このアプリケーションは、Clerkを既存のアプリケーションに統合する際の参考になるだけでなく、新しいプロジェクトを開始する際の強力な出発点としても機能する。

プロジェクトは、既にVueアプリケーションの基本構造、IonicコンポーネントによるUI、CapacitorによるiOS/Androidのプラットフォーム統合が完了している「clerk-tutorial-start」という既存のプロジェクトを基盤として進められる。これにより、初期設定にかかる時間を大幅に短縮し、Clerkの認証機能の統合に開発リソースを集中できる。

Clerkサービスのセットアップでは、まずClerkのWebサイトにアクセスして新しいプロジェクトを作成する必要がある。アプリケーションがユーザーの氏名情報を収集するため、Clerkのユーザーモデル設定で「First Name」と「Last Name」フィールドを有効化する。サインアップに関する設定では、「Sign up with email」と「Verify at sign up」を有効にし、検証方法としては「Email code」を選択する。モバイル環境では、メールで送信される検証リンクよりも検証コードの方が実装が容易で、ユーザーエクスペリエンスの観点からも推奨されることが多い。最後に、ClerkダッシュボードからPublishable Keyを取得し、これをアプリケーション内で利用できるように準備する。このキーは、アプリケーションがClerkサービスと安全に通信するために不可欠な識別子となる。

次に、取得したClerkのPublishable Keyをアプリケーションの環境変数に設定し、Clerkが提供するVue SDKをプロジェクトにインストールする。Vueアプリケーションの起点となるmain.tsファイルでは、Clerkプラグインをインポートし、先ほど取得したPublishable Keyを使って初期化処理を行う。この初期化により、Clerkの認証機能や関連するフックがアプリケーション全体で利用可能になる。

認証に関するロジックは、Vueの「コンポーザブル」という機能を使ってuseAuth.tsファイルに集約され、再利用可能な形で提供される。コンポーザブルは、アプリケーション全体で共有・再利用できる状態管理やロジックをまとめた関数群である。useAuthコンポーザブル内部では、Clerkの提供するuseClerk()フックを通じてClerkクライアントインスタンスにアクセスし、useUser()フックを使って現在のユーザーのログイン状態やユーザー情報などのリアクティブな状態を取得する。

ユーザーのサインイン機能の実装では、ユーザーが入力したメールアドレスとパスワードを受け取り、clerk.client.signIn.create()メソッドを呼び出す。このメソッドが認証に成功し、返された結果のステータスが「complete」であった場合、非常に重要なステップとしてclerk.setActive()メソッドを呼び出し、Clerk SDKに対してこの新しいセッションをアクティブ化するように明示的に指示する必要がある。これにより、ヘッドレス認証であってもユーザーがアプリケーション内で完全にログイン状態として認識される。サインアウト機能はよりシンプルで、clerk.signOut()メソッドを呼び出すだけで現在のユーザーセッションが終了し、アプリケーション内の認証状態がクリアされる。これらのサインインおよびサインアウト機能は、実際のログイン画面(LoginView.vue)とプロフィール画面(ProfileView.vue)で利用されるように更新される。

アカウント作成(サインアップ)のフローは、サインインよりも少し複雑な多段階プロセスとなる。signUp関数では、clerk.client.signUp.create()メソッドを呼び出して新しいユーザーを作成する。もしClerkがメールアドレスの検証を要求する場合(メソッドが返す結果のステータスが「missing_requirements」であった場合)、Clerkはユーザーの登録したメールアドレスに検証コードを送信する。このとき、result.prepareEmailAddressVerification()メソッドを呼び出して、次の検証ステップに備える。アプリケーションのサインアップ画面では、このClerkからの要求を受けて、ユーザーにメールで届いた検証コードの入力を促すUI要素を表示する。ユーザーが検証コードを入力したら、handleVerification関数がそのコードを受け取り、signUpAttempt.attemptEmailAddressVerification()メソッドに渡してメールアドレスの検証を試みる。検証が成功し、ステータスが「complete」になった場合、ここでもclerk.setActive()を呼び出してユーザーのセッションを確立し、ログイン状態にする。

アプリケーションの認証状態(ユーザーがログインしているか、Clerkの初期化が完了したかなど)を適切に管理し、スムーズなユーザー体験を提供するために、VueのSuspense機能とWatcherが活用される。まず、Clerkの初期化処理中にユーザーに表示するためのLoadingSpinner.vueコンポーネントを作成する。次に、AppContent.vueというコンポーネントを作成し、useAuthコンポーザブルから提供されるisLoadedの状態を監視し、Clerkが完全にロードされるまでアプリケーションの主要コンテンツの描画を待機させる。さらに、isSignedInの状態と現在のルートを監視するWatcherを設定する。このWatcherは、ユーザーがログインしているかどうか、および現在アクセスしようとしているルートに応じて、認証が必要な保護されたページ(プロフィールページなど)へのアクセスを制限したり、すでにログイン済みのユーザーがログイン/サインアップページにアクセスした際にプロフィールページへ自動的にリダイレクトしたりする役割を担う。最終的に、App.vueファイルでは、このAppContentコンポーネントをVueのSuspenseタグで囲み、AppContentが非同期処理を完了してロードされるまでの間、LoadingSpinnerを表示するように設定する。

最後に、Capacitorを利用して開発したWebアプリケーションをモバイルデバイスにデプロイする手順について説明する。まず、npm run buildコマンドを実行することで、開発したVueアプリケーションの本番環境向けの最適化されたビルドが作成され、その出力ファイルはプロジェクトのdistフォルダーに配置される。次に、このビルドされたWebアプリケーションを、Capacitorが提供するコマンドであるnpx cap sync [android|ios]npx cap run [android|ios]を使って、実際に接続されているAndroidまたはiOSのデバイス、あるいはエミュレータにデプロイできる。モバイル環境では、プラットフォーム固有の構成変更が必要になる場合がある。Androidの場合、android/app/src/main/AndroidManifest.xmlファイルにandroid:usesCleartextTraffic="true"という設定を追加する必要がある。これは、開発環境や一部のAPIとの通信において、HTTPSを使用しないクリアテキストトラフィックを許可するために必要となる場合がある。iOSの場合、ios/App/App/Info.plistファイルにWKAppBoundDomainsキーとNSAppTransportSecurityキーを追加し、Clerkのドメインへのアクセスを許可する設定を行う必要がある。これにより、アプリケーション内のWebビューとClerk認証サービスとの間の安全かつ正確な通信が保証される。

以上のステップを通じて、Ionic、Vue、Capacitor、Clerkという技術群を組み合わせることで、開発者は既存のWeb技術の知識を最大限に活用し、強固で高度にカスタマイズ可能な認証機能を備えたモバイルアプリケーションを効率的に構築できるようになる。サインイン、メール検証を含むサインアップ、セッション管理といった基本的な認証機能だけでなく、Clerkサービスが提供するパスワードリセットなどのさらに高度な機能も、同様のアプローチで容易に統合することが可能である。

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