【ITニュース解説】Build a Secure, Real-Time Chat App in Minutes with React, Clerk, and Stream

2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「Build a Secure, Real-Time Chat App in Minutes with React, Clerk, and Stream」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

認証サービスClerkとチャットAPIのStreamを活用し、Reactで安全なリアルタイムチャットアプリを構築する手順を解説。各サービスのセットアップから実装、テストまでを具体的に説明しており、初心者でも手軽に開発を体験できる。(118文字)

ITニュース解説

近年のWebアプリケーション開発では、全ての機能を自前で開発するのではなく、特定の機能に特化した外部の専門サービス(SaaSやAPIサービス)を組み合わせることで、高品質なアプリケーションを迅速に構築する手法が主流となっている。ここで紹介する技術記事は、まさにその現代的な開発スタイルを体現したものであり、フロントエンドライブラリのReactを基盤に、認証機能を「Clerk」、リアルタイムチャット機能を「Stream」という二つの外部サービスと連携させ、安全かつ高機能なチャットアプリケーションを短時間で作成する具体的な手順を示している。

まず、このアプリケーション開発で中心的な役割を担う技術要素について理解する必要がある。一つ目は「React」で、これはユーザーがブラウザで目にする画面、すなわちユーザーインターフェース(UI)を構築するためのJavaScriptライブラリである。UIを「コンポーネント」と呼ばれる独立した部品の組み合わせとして捉えることで、複雑な画面も効率的に開発・管理できるのが大きな特徴だ。記事では「Vite」という開発ツールを使ってReactプロジェクトを素早く立ち上げている。

次に「Clerk」は、認証機能を専門に提供するサービスである。Webアプリケーションに必須のログイン、新規登録、パスワード管理といった機能は、セキュリティを考慮すると実装が非常に複雑になりがちだ。Clerkを利用することで、開発者はそうした複雑な処理を自ら実装することなく、数行のコードを追加するだけで、堅牢な認証システムをアプリケーションに組み込むことができる。記事の手順では、Clerkのサイトでアカウントを作成して「Publishable Key」という一種のIDを取得し、それをReactアプリケーションに設定するだけで基本的な連携が完了する。

そして「Stream」は、リアルタイムチャット機能を提供するためのサービスである。ユーザー間のメッセージの送受信、チャットルームの管理、オンライン状態の表示といった、リアルタイム通信を伴う複雑な機能をAPI経由で簡単に利用できるようにしてくれる。開発者はサーバー側の難しい通信処理を意識することなく、チャット機能の実装に集中できる。こちらもStreamのサイトでアカウントを作成し、「API Key」を取得してアプリケーションと連携させる。

実際の開発プロセスは、これらのサービスを順序立てて連携させていく流れとなる。まずReactプロジェクトの準備を終えた後、Clerkを導入してアプリケーション全体を認証管理下に置く。これにより、ログインしているユーザーとしていないユーザーで表示する内容を切り替えることが可能になる。次に、Streamのライブラリを導入し、チャット画面を構築する。Streamのサービスを利用するには、APIキーに加えて、チャットに参加するユーザー一人ひとりを識別するための「ユーザートークン」という認証情報が必要になる。

この記事のチュートリアルでは、学習目的のため、このユーザートークンをStreamが提供するツールを使って手動で生成している点が特徴的だ。サンプルコードは、ログインしたユーザーのメールアドレスが特定のもの(alice@example.com)であるかどうかに応じて、Stream上では「alice」または「bob」という固定のユーザーとして扱われる設計になっている。そのため、あらかじめ「alice」と「bob」という二つのユーザーIDに対応するトークンを生成し、アプリケーションに設定しておく必要がある。

ここで極めて重要になるのが、ClerkやStreamから取得したAPIキーやトークンといった機密情報の管理方法である。これらの情報をプログラムのソースコードに直接書き込むことは、情報漏洩に繋がりかねない非常に危険な行為だ。そのため、プロジェクト内に「.env」という名前の特別なファイルを作成し、その中に機密情報を記述する。プログラムからはこのファイルを読み込んで値を利用する。この.envファイルは、Gitなどのバージョン管理システムの追跡対象から除外するのが鉄則であり、セキュリティを確保するための基本的な作法とされている。

アプリケーションの動作原理を整理すると、まずユーザーがアクセスするとClerkが認証を担い、ログインが完了するとユーザー情報を取得する。次に、そのユーザー情報(メールアドレス)を基に、あらかじめ用意された「alice」か「bob」のStream用ユーザートークンを選択する。そして、そのトークンを使ってStreamのチャットサーバーに接続し、リアルタイムのメッセージ送受信が可能になる、という流れだ。このように、それぞれのサービスが自身の専門領域の役割を果たすことで、一つのアプリケーションとして機能が統合されている。

最後に、この記事で示されている構成は、あくまで開発や学習のための簡易的なものであることを理解しておく必要がある。特に、ユーザートークンを事前に生成してクライアント側の環境変数に保持する方法は、本番環境ではセキュリティ上のリスクが高い。実際の製品開発では、ユーザーがログインするたびに、アプリケーションのバックエンドサーバーが動的に短期間のみ有効なトークンを生成し、それをクライアントに渡すという、より安全な仕組みを構築することが求められる。このチュートリアルは、外部サービスを組み合わせた迅速な開発手法を学ぶための優れた出発点であり、同時に本番環境で求められるセキュリティ要件について考えるきっかけを与えてくれるだろう。

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