【ITニュース解説】XDeck: TweetDeck-style columns for X, free and open source
2026年10月31日に「Dev.to」が公開したITニュース「XDeck: TweetDeck-style columns for X, free and open source」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
「XDeck」は、Xを複数カラムで表示し、広告非表示や高度なフィルター、自動更新を可能にする無料・オープンソースのChrome拡張機能だ。XのAPIを使わず、ブラウザ上でJavaScriptのみで動作するため、その仕組みはシステム開発初心者の学習材料になる。
ITニュース解説
XDeckは、かつて多くのX(旧Twitter)ユーザーに利用された「TweetDeck」のような多機能な複数カラム表示を、再び無料で提供するChromeブラウザの拡張機能である。TweetDeckが「X Pro」と名前を変え、有料サービスとなったことで、情報収集の効率が落ちたと感じた開発者が、その課題を解決するために作り上げた。XDeckを使うことで、ユーザーは一つのXのタブの中に、複数のタイムラインや検索結果、通知などを並べて表示し、それぞれが自動的に更新される、推薦アルゴリズムに邪魔されない情報空間を取り戻せる。
XDeckの最も基本的な機能は、複数のカラムを同時に表示できることだ。ホームタイムライン(「フォロー中」と「おすすめ」)、通知、検索結果、リスト、フォロー中のプロフィール、ブックマーク、探索、DM、コミュニティ、いいねした投稿、さらには任意のXのURLなど、X上のあらゆるコンテンツをカラムとして追加し、気になる情報を横断的に一目で確認できる。表示レイアウトも、昔ながらの複数カラムを並べる「Columns」、情報を壁のように敷き詰める「Grid」、そしてラップトップでの利用に適した「Tabs」の3種類が用意されており、使用環境に合わせて柔軟に切り替えられる。また、「Main」「News」「Work」といったように、用途ごとにカラムのセットを「ワークスペース」として保存し、瞬時に切り替えられるのも特徴だ。
情報過多なXから必要な情報だけを抽出するための「フィルタリング機能」も非常に強力である。各カラムには個別にフィルタを設定でき、特定のキーワード(正規表現も利用可能)を含む投稿だけを表示したり、逆に特定のキーワードやアカウントからの投稿を非表示にしたりできる。さらに、特定の言語の投稿、メディアやリンクを含む投稿のみ、認証済みアカウントの投稿のみといった細かな設定も可能だ。返信、リポスト、引用を非表示にしたり、最低限のいいね数がある投稿のみを表示させたりすることもできる。特に便利なのが、「他のカラムにすでに表示されている投稿を非表示にする」機能で、同じ情報が複数のカラムに重複して表示されるのを防ぎ、効率的な情報収集をサポートする。
Xの標準的な表示から不要な要素を削除し、よりクリーンな情報体験を提供する機能も充実している。「プロモーション投稿」、「誰をフォローするかのおすすめ表示」、「投稿の閲覧数」、「トレンドのサジェスト」、「Premiumへの誘導表示」、「Grokボタン」といった要素を非表示にできる。また、Xを開いた際にホームタイムラインが自動的に「フォロー中」タブで表示されるように設定することも可能で、タイムラインが推薦アルゴリズムによって操作されることを避けられる。
情報の鮮度を保つための機能として、各カラムは設定した時間間隔(15秒から1時間まで)で自動的に更新される。もしユーザーがそのカラムを読んでいる最中であれば、更新は一時停止し、読書の邪魔をしない配慮もされている。新しい投稿があった場合には未読数が表示され、設定したフィルタを通過する重要な投稿があれば、デスクトップ通知で知らせてくれる。また、「リーディングペイン」機能を使えば、投稿をクリックするとそのスレッドが右側に開かれ、元のカラムは表示位置を維持するため、スムーズに投稿内容を確認できる。
気になる投稿をXのブックマーク機能とは別に保存できる「コレクション」機能も便利だ。ワンクリックで投稿を保存し、タグ付けやメモの追加が可能で、後から検索して見つけ出すことができる。保存したデータはMarkdown、CSV、JSON形式でエクスポートでき、別のブラウザ環境へも移行できる。さらに、キーボードショートカットが豊富に用意されており、Alt+1〜Alt+9でカラムを切り替えたり、X本来のキー操作(j, k, l, r, tなど)をカラム内で利用したりできる。複雑な検索条件も、Xの検索演算子に対応した「検索ビルダー」を使って数クリックで簡単に設定でき、特定のテーマを追うカラムを簡単に作成できる。
次に、XDeckがどのように動いているのか、その技術的な仕組みを解説する。XDeckは、Xの公式な「API(Application Programming Interface)」、つまり、外部サービスがXのデータにアクセスするための正規の窓口を一切利用しない。また、開発者が管理するサーバーも持たない。これは、XDeckがあなたのブラウザの中で完全に完結していることを意味する。具体的には、XDeckはChrome拡張機能として動作し、「x.com/i/xdeck」という特別なURLのタブ上で機能する。このタブが開かれると、XDeckはXの通常のウェブアプリケーションが読み込まれるのを止め、代わりに自前の多カラム表示を構築する。
各カラムの中身は、あたかもXのウェブサイトが複数同時に開かれているかのように表示される。そのため、あなたがブラウザでXにログインしていれば、そのログイン情報(クッキー)がXDeckの各カラムでもそのまま使われる。XDeckがあなたのログイン情報をコピーしたり、どこかに保存したりすることは一切ないため、セキュリティ面でも安心して利用できる仕組みだ。
通常、Xのようなウェブサイトは、自分のページが他のウェブサイトのフレーム内に埋め込まれることを制限するセキュリティ設定を持っている。しかし、XDeckは、その多カラム表示を実現するために、Xのページを内部でフレームとして利用する必要がある。そこで、XDeckのタブが開いている間だけ、そのタブ内でXのページを埋め込むことを一時的に許可するブラウザのルールを適用する。このルールは、XDeckのタブが閉じられると自動的に消滅するため、他のウェブサイトや通常のXのタブのセキュリティには影響しない。
XDeckのすべてのデータ、例えばワークスペースの設定、フィルタの内容、保存した投稿などは、あなたのChromeブラウザのストレージ内に保存される。開発者に何らかのデータが送信される「アナリティクス」や「テレメトリ(遠隔測定)」機能は一切なく、アカウント登録も不要である。プライバシーポリシーも非常にシンプルで、最小限のページで完結する。要求するブラウザ権限も「ストレージ(設定保存のため)」、「通知(デスクトップ通知のため)」、「右クリックメニュー(投稿保存のため)」、そして先述の「ヘッダー変更ルール」と「x.comへのアクセス」のみに限定されており、「すべてのウェブサイトを読み取る」ような広範な権限は求められない。XDeckは「プレーンなJavaScript」で書かれており、特定の複雑なフレームワークやビルドプロセスを必要としないシンプルな構成で、そのソースコードは「オープンソース」として公開されているため、誰でも動作原理を確認できる透明性を持っている。
しかし、XDeckにもいくつかの限界があることを理解しておく必要がある。まず、XDeckはブラウザのXのログイン情報を共有するため、同時に複数のXアカウントを切り替えて利用することはできない。次に、各カラムが独立したXのページとして動作するため、カラムの数が増えれば増えるほどブラウザのメモリ使用量が増える可能性がある。これは、複数のタブを開くのと同じようなものだと考えると良い。また、自動更新や未読数表示、デスクトップ通知といった機能を利用するには、XDeckのタブを開きっぱなしにしておく必要がある(バックグラウンドで開いていても問題ない)。最後に、Xのウェブサイトの見た目や内部構造は時々変更されるため、Xの仕様変更があった場合には、フィルタやクリーンアップ機能が一時的に動作しなくなる可能性がある。しかし、カラム自体がXのページを表示する機能は維持される。XDeckはX Corp.とは無関係の、独立した非公式プロジェクトであることを理解しておこう。この拡張機能は、自分にとって最適な情報環境を自らの手で作り出す自由を与えてくれる。