【ITニュース解説】I wrote a Bitcoin-style blockchain in Python. It's unaudited, and here is where I'd like your review
2026年11月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「I wrote a Bitcoin-style blockchain in Python. It's unaudited, and here is where I'd like your review」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
一人の開発者がPythonでBitcoinに似た実験的なブロックチェーンを公開した。専門家による監査は未実施で、経験豊富な開発者からのコードレビューを募っている。セキュリティ脆弱性の指摘などを通じ、今後の改善を目指す。
ITニュース解説
このニュースは、アフガニスタンのカブールを拠点とする一人の開発者が、Pythonというプログラミング言語を使って「NEBULA (NBL)」という名のブロックチェーンを独自に開発しているという内容である。このプロジェクトはまだローンチ前の実験段階にあり、開発者自身が「未監査であるため、失っても困らないお金以外は投入しないでほしい」と明確に注意を促している。この記事の主な目的は、経験豊富なエンジニアからの技術的なレビューとフィードバックを募ることにあり、プロジェクトの現状を正直に説明している。
NEBULAは、ビットコインの設計思想に強く影響を受けている。まず、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれる仕組みを採用している。これは、新しいブロックをブロックチェーンに追加する際に、複雑な計算問題を解くことでその正当性を証明する合意形成アルゴリズムである。具体的には、ビットコインでも使われている「SHA-256d」という暗号学的ハッシュ関数を二重に適用する方式を採用しており、計算を高速化するためのC言語製アクセラレーターもオプションで用意されている。このPoWによって、ネットワークのセキュリティが保たれ、不正な取引や二重支払いを防ぐ仕組みとなっている。
取引の記録方法についても、ビットコインと同様に「UTXO(Unspent Transaction Output:未使用トランザクション出力)」モデルを採用している。これは、仮想通貨の残高を口座として管理するのではなく、どの取引のどの出力がまだ使われていないか、という形で管理する方式である。これにより、取引の透明性と検証の容易さが向上する。さらに、NEBULAは、一般的な支払いアドレスである「P2PKH (Pay-to-Public-Key-Hash)」、より複雑なスクリプトに対応する「P2SH (Pay-to-Script-Hash)」、そして複数の署名が必要な「マルチシグ」といった、多様なトランザクション形式に対応している。これらは、ユーザーがどのような条件で仮想通貨を動かすかを柔軟に設定できる機能だ。
ウォレット技術についても、NEBULAは「BIP39」「BIP32」「BIP44」といった標準規格をサポートしている。BIP39は、人間が覚えやすい単語のリスト(ニーモニックフレーズ)から秘密鍵を生成する規格で、BIP32とBIP44は、一つのシードから複数のアドレスを階層的に生成できる「HDウォレット(Hierarchical Deterministic Wallet)」の規格である。これにより、ユーザーは複数のアドレスを簡単に管理し、バックアップも容易になる。
また、NEBULAはビットコインと同じく、総発行量が2100万枚と固定されている。これにより、通貨の希少性が保証され、インフレに対する抵抗力を持つ設計となっている。ブロックの生成目標時間を10分に設定し、その生成速度が大きく変動しないよう、60ブロックの期間で「LWMA(Linearly Weighted Moving Average)」というアルゴリズムを用いて難易度を調整する仕組みも導入されている。この難易度調整は、ネットワークに参加するマイナーの計算能力に応じて、PoWの計算の難しさを自動的に調整するもので、安定したブロック生成間隔を保つために不可欠な機能である。ネットワーク間の通信は「TLS」という暗号化プロトコルによって保護されており、ノード間で安全に情報をやり取りできるP2P(Peer-to-Peer)ネットワーク層も実装されている。
しかし、開発はまだ道半ばであり、いくつかの課題と未実装の機能がある。現在、一般に公開されたテストネットや、ネットワークに参加するための初期接続点となるシードノードは存在しない。開発者が行っている複数ノードでのテストは、すべて自身のコンピューター(ローカルホスト:127.0.0.1)上で実行されている。これらのテストでは、ブロックチェーンの重要な要素である「合意形成」や「P2P層」、「チェーンの再編成(reorg)」といった機能が動作することは確認できているが、異なるネットワーク上に存在するノード同士がインターネットを通じて互いを見つけ出し、接続できるかはまだ検証されていない。
コードベースも大きな課題の一つである。メインファイルは約95,000行という非常に大規模なもので、その多くは「グループ」と呼ばれるオプション機能が占めている。これらのオプション機能は、まだ誰も監査しておらず、その信頼性やセキュリティは未知数である。幸いにも、ブロックチェーンの根幹をなす「合意形成コア」は、より小さなコード量で構成されており、開発者は「REVIEW.md」という短いガイドに、特にレビューしてほしい重要な関数をリストアップしている。
さらに、NEBULAの「ジェネシスブロック(最初のブロック)」には、総供給量の約4.9%にあたる1,035,000 NBLが「プレマイン」として含まれている。これは、プロジェクト開始時に一部のコインがあらかじめ発行され、特定のウォレットに割り当てられていることを意味する。このプレマインの存在は、リポジトリ内のテストスクリプトを使って検証可能である。
開発者は、過去にもCode Review Stack ExchangeというサイトでLWMA難易度関数の一部についてレビューを求めた経験がある。その際、些細なことではあるが、コードの可読性を向上させるための具体的な提案を受け、それを適用することで品質が改善されたという。この経験から、開発者は自身の見落としがちな点や、客観的な視点からのフィードバックの重要性を強く認識している。
特に、レビューを求めている具体的な技術領域は多岐にわたる。難易度調整アルゴリズムの「LWMAコード」については、値の範囲を制限する「クランピング」や「丸め処理」、そしてタイムスタンプの特殊なケース(エッジケース)に関するレビューを求めている。また、ジェネシスブロックとプレマインの処理についても、その実装が適切であるかを確認したいと考えている。トランザクションの正当性を確認する上で極めて重要な「署名検証」のロジック、特に「low-S」と呼ばれる署名形式の処理や「DER(Distinguished Encoding Rules)」という形式での解析についても、セキュリティ上の問題がないか専門家の目を通したい意向だ。そして、ブロックチェーンが分岐した際に、正しいチェーンを選択し、ネットワークの状態を更新する「再編成ポリシー(reorg policy)」についても、その堅牢性を確認したいと考えている。
もし、このコードにネットワークを攻撃できるような致命的な欠陥が見つかった場合は、GitHubのセキュリティタブにある「脆弱性を報告」機能を使って、非公開で報告することを開発者は求めている。これは、問題が公になる前に修正し、潜在的な被害を防ぐための重要なプロセスである。
このプロジェクトを実際に試してみたい場合は、GitHubのリポジトリからコードをクローンし、提供されているテストスクリプトを実行することで、ジェネシスブロックとプレマインの検証、LWMA難易度調整の動作確認を行うことができる。開発者は「星をつけるよりも『これは間違っていて、その理由はこれだ』と具体的な指摘が欲しい」と述べ、建設的なフィードバックへの強い期待を示している。このような姿勢は、オープンソース開発における協調と改善の精神を象徴するものと言えるだろう。