【ITニュース解説】How to Store Persistent Data Across Workflows Executions in n8n
2025年09月27日に「Dev.to」が公開したITニュース「How to Store Persistent Data Across Workflows Executions in n8n」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
n8nで新機能「Data tables」がベータリリースされた。これは、ワークフロー間でデータを永続的に保存する組み込み機能だ。これまで必要だった外部データベースなしで、SQLのようにデータを保存・共有できる。外部接続が不要になり、効率的なデータ管理とワークフローの高速化を可能にする。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、日々の業務で情報を効率的に処理し、システム間の連携をスムーズに行うことは非常に重要だ。近年、ノーコード・ローコードツールが注目されており、その中でも「n8n」というツールは、様々なサービスやアプリケーションを連携させ、自動化されたワークフローを構築する強力なプラットフォームとして知られている。
n8nでは、「ワークフロー」と呼ばれる一連の自動化された処理の流れを作成する。例えば、「新しいメールが届いたら特定の情報を抽出して、別のシステムに登録する」といった一連の作業を、プログラミングの知識が少なくても視覚的に設定できるのが特徴だ。しかし、これまでのn8nのワークフローには、データを保存する上で一つの課題があった。それは、「ワークフローが一度実行を終えると、その中で扱っていたデータが消えてしまう」という点だ。ワークフローは実行されている間だけデータを保持し、そのライフサイクルが終了するとデータも消滅してしまうため、もし将来的にそのデータを使いたい場合や、複数のワークフロー実行間でデータを共有したい場合には、工夫が必要だった。
これまでの解決策としては、外部のデータベースサービスを利用する方法が一般的だった。例えば、高速なデータキャッシュに適したRedisや、高い信頼性と拡張性を持つAmazon Auroraのようなリレーショナルデータベースを、n8nのワークフローと連携させてデータを保存していた。これにより、ワークフローの実行が終わった後もデータを永続的に保持し、必要に応じて取得、更新、削除といった操作が可能になる。しかし、この方法には、外部データベースの構築や設定、認証情報の管理、そしてデータベースとの接続速度といった、追加の労力や考慮事項が伴う。システムエンジニアにとって、これらの設定や管理は日常的な業務の一部だが、特に初心者にとっては少しハードルが高く感じるかもしれない。
このような背景の中で、n8nに待望の新機能「Data tables」がベータ版として登場した。Data tablesは、ワークフローの実行を超えてデータを永続的に保存し、さらに複数のワークフロー間でデータを共有できるようにする、画期的な組み込み機能だ。これは、これまで外部データベースを別途用意しなければ実現できなかったデータの永続化を、n8nのプラットフォーム内で直接行えるようになることを意味する。SQL(Structured Query Language)のような構造でデータを扱うため、データベースの基本的な概念を理解している人には馴染みやすいだろう。
Data tablesを利用するには、現在提供されている安定版のn8nではなく、「n8n@next」というベータ版のn8nをインストールする必要がある。これは、まだ開発中の機能であり、今後正式版としてリリースされる予定であることを示している。インストール後、n8nのユーザーインターフェースを見ると、「Executions(実行履歴)」タブの隣に「Data tables」タブが新しく追加されていることがわかる。これは、Data tablesがワークフローの実行と密接に関連し、認証情報(Credentials)のようにワークフロー間で共有できるリソースとして設計されていることを示唆している。
新しいData tableを作成する手順は非常に簡単だ。タブをクリックし、「Create Data table」を選択して、テーブルに名前を付けるだけで完了する。複雑なデータベースの設計知識や、データベース管理者のような専門知識は必要ない。作成されたData tableには、自動的に「id(識別子)」「createdAt(作成日時)」「updatedAt(更新日時)」という3つのデフォルトカラムが用意されている。これらはデータの管理に不可欠な情報であり、システムが自動で値を入力してくれる。もちろん、業務に必要な情報に合わせて、さらに多くのカラム(列)を追加することも可能だ。ただし、デフォルトのカラムを含め、一度作成したカラムは削除できないため、最初にどのようなデータを保存したいかをよく検討してから追加することが推奨される。
Data tablesが作成されたら、既存のワークフローを編集したり、新しいワークフローを作成したりして、このData tableを操作する専用のノード(処理ブロック)を追加できるようになる。利用可能なノードは全部で7種類あり、これらを使うことで、Data table内のデータに対して様々な操作を行える。具体的には、特定のデータを「取得」したり、新しいデータを「挿入」したり、既存のデータを「削除」したり、「更新」したりできる。また、「upsert(アップサート)」というノードは、データが存在すれば更新し、存在しなければ挿入するという便利な機能を提供する。さらに、特定のData tableが存在するかどうかに応じて、後続の処理を分岐させるノードも用意されている。
このData tables機能は、ワークフローの柔軟性と効率性を大幅に向上させる。例えば、記事で紹介されているケースでは、複数のGoogleドキュメントから構成される長いプロンプト(指示文)を生成するワークフローが例に挙げられている。通常、このプロンプトを生成する処理は複数のドキュメントを読み込むため、かなりの時間を要する重い処理となる。しかし、Data tablesを利用することで、もしドキュメントの内容に更新がなければ、過去に生成してData tableに保存しておいたプロンプトをすぐに取得し、重い生成処理をスキップできる。これにより、ワークフロー全体の実行時間を短縮し、リソースの消費も抑えることが可能になる。もしドキュメントが更新された場合は、サブワークフロー(別のワークフローを呼び出す機能)をトリガーして新しいプロンプトを生成し、その結果をData tableに保存し直す、といった賢い処理フローが構築できるのだ。
Data tablesが組み込み機能であることの最大の利点は、外部データベースに依存しない点にある。これにより、外部データベースの認証情報を別途管理する必要がなくなり、ネットワークの遅延による接続速度の低下を心配する必要もほとんどなくなる。ワークフロー内でデータの流れを直接制御し、トリガーやノードを使ってデータを処理する一連の操作が、すべてn8nの環境内で完結するようになるため、システム全体の管理がよりシンプルで効率的になる。まだベータ版ではあるものの、このData tablesは、n8nを使ったシステム開発において、データの永続化と管理の方法を大きく変える可能性を秘めている、非常に期待される機能と言えるだろう。