【ITニュース解説】How to turn your old hard drives into a RAID array
2026年10月13日に「Engadget」が公開したITニュース「How to turn your old hard drives into a RAID array」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
古いハードディスクもまだ使える。これらを複数組み合わせて「RAIDアレイ」にすれば、データの保存場所を増やしたり、読み書きを速くしたり、故障に強くしたりできる。眠っている古いHDDを有効活用し、効率的なデータ管理システムを構築する方法を紹介する。
ITニュース解説
手元に使わなくなった古いハードディスク(HDD)が何台かある場合、それらをただしまっておくのはもったいない。実は、これらの古いHDDも、適切な方法で組み合わせることで、新たな価値を生み出すことができる。その方法の一つが「RAIDアレイ」として利用することだ。システムエンジニアを目指す上で、ストレージの管理や活用は避けて通れないテーマであり、このRAIDという技術を理解することは非常に重要である。
まず、RAIDとは何かを簡単に説明する。RAIDは「Redundant Array of Independent Disks」の略で、複数の独立したディスクをあたかも一つの大きなディスクであるかのように扱えるようにする技術である。これにより、データの読み書き速度を向上させたり、ディスクが故障した際にデータが失われるのを防いだりすることができる。つまり、性能や信頼性を向上させるための技術だ。
古いHDDをRAIDアレイとして活用する最大のメリットは、コストを抑えながらストレージ容量を増やしたり、データの安全性を高めたりできる点にある。新しいHDDやSSDを購入する費用をかけずに、既存の資産を有効活用できるのは魅力的だ。しかし、古いHDDを使うことには当然デメリットも存在する。最も大きな懸念は、経年劣化による信頼性の問題だ。HDDは消耗品であり、長く使えば使うほど故障のリスクは高まる。そのため、古いHDDをRAIDに組み込む際は、その健康状態を十分に確認し、万が一の故障に備えた計画を立てることが不可欠となる。
RAIDアレイを構築する具体的な方法に入る前に、いくつか準備すべきものがある。まず、RAIDを構成する複数のHDD本体だ。これらは容量が近いものを選ぶのが望ましい。次に、RAIDを制御するためのコントローラーが必要になる。これは、PCのマザーボードに内蔵されているオンボードRAID機能を利用するか、専用のRAIDコントローラーカードを増設する方法、あるいはOSの機能を使ってソフトウェア的にRAIDを構築する方法(ソフトウェアRAID)がある。初心者にとっては、マザーボードの機能やソフトウェアRAIDから始めるのが比較的簡単だろう。その他、HDDを接続するためのSATAケーブルや電源ケーブル、そして複数のHDDを搭載できるPCケースや外付けHDDケースも必要になる場合がある。
RAID構築の作業を始める前に、非常に重要なステップがある。それは、使用するHDDのデータが完全に消去されても問題ないか確認し、必要なデータがあれば必ず別の場所にバックアップを取っておくことだ。RAIDアレイを構築する過程で、HDDは初期化され、その中のデータは全て失われる。この工程を怠ると、大切なデータを失うことになりかねない。
RAIDにはいくつかの種類(レベル)があり、それぞれ特徴が異なる。古いHDDを活用する上で特に考慮されるのは、RAID 0、RAID 1、そしてRAID 5あたりだろう。
- RAID 0(ストライピング):データを複数のディスクに分散して書き込むことで、読み書き速度を大幅に向上させる。複数のHDDが並列で動作するため、高速なデータアクセスが可能になる。しかし、いずれか一つのディスクが故障すると、データ全体が失われるというリスクがある。耐障害性はなく、純粋な性能向上を目的とする。
- RAID 1(ミラーリング):同じデータを二つのディスクに同時に書き込む。一方のディスクが故障しても、もう一方のディスクにデータが残っているため、データが失われる心配がない。耐障害性が高い反面、利用できる容量は最も小さいディスクの容量の半分になる。古いHDDでデータの安全性を確保したい場合に適している。
- RAID 5:3台以上のディスクで構成され、データとパリティ(誤り訂正符号)を分散して書き込む。一つのディスクが故障しても、残りのディスクとパリティ情報からデータを復旧できる。RAID 0とRAID 1の間の性能と耐障害性のバランスが取れた方式だ。ただし、最低3台のHDDが必要となる。
初心者で古いHDDを再利用するなら、まずはRAID 1から始めるのが理解しやすいかもしれない。データの安全性を確保しつつ、構築も比較的簡単だからだ。
ソフトウェアRAIDを例に、構築の一般的な流れを見てみよう。Windowsであれば「記憶域スペース」という機能を使ってRAID 1やRAID 0のような構成を作ることができる。まず、PCに複数のHDDを接続し、OSがそれらを認識していることを確認する。次に、記憶域スペースの管理画面を開き、新しく「記憶域プール」を作成する。このプールに利用したいHDDを追加し、その中から「仮想ディスク」を作成する際に、RAIDの種類(Windowsでは「回復性」という表現でミラーリングなどを選択)や容量を指定する。あとは指示に従ってフォーマットを完了すれば、RAIDアレイとして利用できるようになる。Linuxの場合も「mdadm」コマンドを使って同様のソフトウェアRAIDを構築できるが、コマンドライン操作が主になるため、初心者には少し敷居が高いかもしれない。
古いHDDをRAIDに組み込む際には、いくつか注意すべき点がある。まず、HDD自体の健康状態を詳しくチェックしておくべきだ。S.M.A.R.T. (Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology) 情報を確認することで、HDDの故障予測診断が可能だ。異常が見られるHDDはRAIDに組み込まない方が賢明である。次に、複数のHDDを同時に稼働させるため、PCの電源ユニットが十分な電力を供給できるか確認する必要がある。消費電力が増え、発熱も増えるため、PCケース内のエアフローや冷却対策も重要になる。
そして最も重要な注意点として、RAIDはバックアップではないということを理解しておく必要がある。RAID 1やRAID 5は、ディスクの故障からデータを保護するが、誤ってファイルを削除してしまったり、マルウェアに感染したり、火災や盗難といった災害からデータを守ることはできない。これらのリスクに備えるためには、RAIDとは別に、定期的に別のストレージやクラウドサービスにデータをバックアップする「真のバックアップ」を別途実施する必要がある。
古いHDDをRAIDアレイとして活用することは、使わなくなった資源を有効活用し、ストレージ技術に対する理解を深める良い機会となる。システムエンジニアにとって、ストレージの効率的な運用とデータ保護は基本的なスキルであるため、実際に手を動かして経験を積むことは将来必ず役立つだろう。しかし、古い部品を使うことのリスクと、RAIDの特性を十分に理解した上で、慎重に進めることが肝心だ。この挑戦を通じて、ストレージ管理の面白さと奥深さをぜひ体験してほしい。