【ITニュース解説】206 Sign-in Starts, 0 Signups: How to Check Whether AI Visitors Actually Convert
2026年10月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「206 Sign-in Starts, 0 Signups: How to Check Whether AI Visitors Actually Convert」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIからのWebサイト訪問が実際のユーザー行動に繋がっているか正確に評価する方法を解説。偽トラフィックを除外し、参照元を特定する。Google検索と比較し、デバイス差も考慮しつつ、特定の行動を30日間追跡することが重要だ。
ITニュース解説
近年、AIアシスタントの利用が広がるにつれて、ウェブサイトへの訪問者の中にもAIを介したアクセスが増加している。このようなAIからのアクセスが、実際にウェブサイトが求める成果(サインアップや商品の購入など)に繋がっているのかを正確に把握することは、ウェブサイト運営において非常に重要となる。しかし、単にアクセス解析ツールの数字を見るだけでは、その実態を見誤ってしまう危険性がある。この記事では、AIからの訪問者が本当に価値のある行動を起こしているのかを確認するための具体的な手法が、六つのステップで示されている。
まず、ある開発者の事例が紹介されている。その開発者のウェブサイトでは、ユーザーがサインアップを開始した回数が206回もあったにもかかわらず、実際にサインアップが完了した回数は0回だった。このような数字を見ると、ウェブサイトのサインアップ機能にバグがあるのではないかと疑い、すぐにコードを確認したくなるだろう。しかし、調べた結果、コードには全く問題がなかった。では、なぜこのような異常な数字になったのだろうか。それは、アクセス解析データの中に「本物の人間ではない訪問者」が多数含まれていたためである。
具体的には、グーグルサインインボタンへの205回のクリックのうち、約190回がドイツからのアクセスであった。しかも、これらの訪問者はすべて異なるユーザーとして記録されており、リピーターがいなかった。さらに、データの中には「Linux上でSafariブラウザを使用」といった、現実にはほとんど存在しないようなブラウザとOSの組み合わせが見られた。これらの不自然な点を排除したところ、7日間の訪問者数は358人から約85人に減少し、サインアップ開始数も206回からわずか1回に激減した。この唯一残った1回は、開発者自身のテストアクセスだったという。つまり、ウェブサイトのサインアップ機能は壊れておらず、偽の訪問者がアクセス解析の数字を水増ししていただけであった。このような偽のトラフィックが含まれていると、コンバージョン率(目標達成率)を計算しても、分母となる訪問者数が偽物であるため、全く意味のない数字になってしまうのだ。
このような誤った分析を防ぎ、AIからのアクセスが本当に価値があるのかを見極めるための第一歩は、「人間以外のトラフィックを除外すること」である。前述の事例のように、ある特定国からのアクセスが異常に集中していたり、訪問者が全員新規でリピート訪問が全くなかったり、あり得ないブラウザとOSの組み合わせが見られたりする場合は、それらが人間以外のボットやスクリプトである可能性が高い。これらの怪しいアクセスをデータから除外することが、正確な分析の出発点となる。また、GPTBotやPerplexityBotといったAIクローラーは、ウェブサイトの内容を収集するためにアクセスするものであり、通常の訪問者とは異なるため、アクセス解析の訪問者数には含めず、サーバーの活動記録として別途管理すべきである。
次に重要なのは、「AIからのアクセス元を正確に特定し、タグ付けすること」である。ウェブサイトへの流入元を識別するために、通常は「リファラー(参照元)」という情報が使われるが、ChatGPTからの訪問の中には、このリファラー情報が空になっているケースが多い。そのため、AIからのアクセスかどうかを判別するには、「utm_source」というウェブサイトのURLに付加される特別な識別子も合わせて活用する必要がある。utm_source=chatgpt.comのような記述があれば、それがChatGPTからのアクセスだと特定できる。グーグルの検索結果に表示されるAIの概要からのクリックは、現在のところ通常の検索結果と区別できないため、グーグルからのアクセスとして扱うことになる。
そして、「訪問者が最初に行う可能性のある一つの具体的な行動を選ぶこと」が推奨される。例えば、メールアドレスの登録、特定のプレビュー画面の閲覧、購入プロセスの開始など、訪問者の最初のセッション(ウェブサイトに滞在している一連の時間)で期待される、最も重要な行動を一つだけ選ぶのだ。AIからのアクセスが増えても、この選んだ行動の実行数が変わらないのであれば、そのAIからの訪問者はまだウェブサイトの目標達成に貢献していないと判断できる。また、AIアシスタントがウェブサイトのどのページにリンクしているかを確認することも大切だ。もし、そのページが次の行動を促すのに適していない場合、コンバージョン率が低いのは訪問者の質ではなく、ページの構成に問題があるのかもしれない。
AIからのアクセスによるコンバージョン率を評価する際には、「グーグルからのオーガニック検索トラフィックと比較すること」が効果的である。AIからのアクセスも、グーグルオーガニック検索も、ユーザーが何か疑問を解決するために情報を探し、結果をクリックしてウェブサイトにたどり着くという点で似ているため、良い比較対象となる。同じ期間、同じ行動、同じフィルターを適用した上で、両者のコンバージョン率を比較することで、AIからのアクセスが相対的にどれほどの価値があるのかを客観的に評価できる。
さらに、「デバイス別に分析を分割すること」も忘れてはならない。AIアシスタントからのアクセスはスマートフォンからのものが多く、一方でグーグルオーガニックからのアクセスはデスクトップからのものが多い、といったデバイス利用の偏りが見られることがある。スマートフォンとデスクトップでは、ユーザーの行動やコンバージョン率が異なることが多いため、もしデバイスの偏りがある場合、コンバージョン率の違いがAIアシスタントそのものの効果なのか、それともデバイスの違いによるものなのかが分からなくなってしまう。そこで、AIからのアクセスをスマートフォンとデスクトップに分け、それぞれをグーグルオーガニックのスマートフォンとデスクトップのデータと比較することで、より正確な分析が可能になる。
最後に、「少なくとも30日間は分析を継続すること」が重要だ。短期間のデータ、例えば1週間だけのデータでは、前述の偽トラフィックの事例のように、一時的な異常値によって誤った結論を導き出してしまう可能性がある。30日間のデータがあれば、より多くのサンプル数が得られ、AIからのアクセス数とユーザー行動の関連性をより確実に見つけ出すことができる。また、ウェブサイトのサインアップや購入プロセスに「どこで当サイトを知りましたか?」という質問を追加し、「ChatGPT」「Perplexity」「Gemini」「Microsoft Copilot」「Claude」などのAIアシスタントを選択肢として用意することも有効だ。これにより、アクセス解析ツールでは追跡しきれない、リファラー情報がないAIからの訪問者も把握できるようになる。
これらの分析手法を実践することで、AIアシスタントからのアクセスが本当にビジネスに貢献しているのか、その実態を正確に把握し、ウェブサイトの改善やマーケティング戦略の立案に役立てることができるだろう。表面的な数字に惑わされず、深い洞察を得るための基盤として、これらのステップはシステムエンジニアにとっても重要な知識となる。