【ITニュース解説】How to Remove Client Names From a Draft Using Local AI in 2026
2026年09月29日に「Dev.to」が公開したITニュース「How to Remove Client Names From a Draft Using Local AI in 2026」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
クライアント名など個人を特定する情報を、ローカルAIツール「OGAD」を使い、PC上で安全に削除し、ドラフトを再利用する方法を解説する。クラウドに情報を送らず修正稿を作成できるが、最終的な匿名性の確認は必ず人間が行う必要がある。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、日々の業務の中で作成した資料やレポートは貴重な資産となる。しかし、それらを社外の人と共有したり、自身の実績として公開したりする際には、クライアント名や個人情報といった機密情報を適切に削除する必要がある。この記事では、そのような情報削除の作業を、クラウドサービスを使わず、手元のパソコンだけで完結できる「ローカルAI」という技術を用いて安全かつ効率的に行う方法について解説する。
まず、なぜローカルAIが重要なのかを理解することから始めよう。一般的なAIサービス、例えばChatGPTのようなものは、入力したテキストデータをインターネット経由で外部のサーバーに送信し、そこで処理を行う。このとき、機密情報が含まれたテキストを送ってしまうと、その情報が外部に漏洩するリスクや、サービスプロバイダに利用されるリスクが生じる可能性がある。特に、企業秘密や個人情報を含む文書の場合、このリスクは許容できない。そこで、ローカルAIツールであるOGAD(Off Grid AI Desktop)のようなアプリケーションを使えば、テキストデータがパソコンの外に出ることなく、全ての処理が手元の環境で完結する。これにより、高いセキュリティを保ちながら、AIの強力な支援を受けられるのだ。
OGADを使って機密情報を削除したドラフトを作成するプロセスは、いくつかの段階に分かれている。
最初のステップは、「共有の目的」を明確にすることだ。作成した文書を誰に読んでもらいたいのか、そして何を伝えたいのかを具体的に考える。例えば、社内向けの教訓として共有するのか、一般公開するポートフォリオの一部として使うのか、あるいは新入社員向けの研修資料にするのかによって、削除すべき情報のレベルは大きく異なる。特定の読者が何を知る必要があるのかを定義することが、情報削除の基準となる。
次に、「どのような情報が特定に繋がるか」を深く考える必要がある。単にクライアントの会社名だけを削除しても、その会社を特定できる情報が他に隠されている場合がある。例えば、「ノースバンク・フーズ社の営業部長」という記述があったとして、会社名だけを削除しても、特定の町にある「その町唯一の冷凍食品輸出業者」といった説明が残っていれば、それがノースバンク・フーズ社を指していると容易に推測されてしまうかもしれない。このように、会社名、個人名、役職、所在地、正確な日付、具体的な数値、さらにはプロジェクトのコードネームや、複数の事実の組み合わせが、思わぬ形で機密情報を露呈させる可能性があるため、注意深く検討する必要がある。
これらの検討を踏まえ、OGADの準備を行う。OGADデスクトップアプリをインストールし、テキスト処理用のローカルAIモデルをダウンロードする。インターネット接続が必要なのは、これらのセットアップ時とモデルのダウンロード時だけで、実際の処理はオフラインで行える。短い文書であれば、OGADのチャット機能に直接貼り付けて作業できるが、長い文書の場合は、PDF、DOCX、TXT、Markdownなどのファイルをプロジェクトとしてインポートすると便利だ。OGADはこれらのファイルからテキストを抽出し、AIが処理できる形にする。ただし、OGADが処理するのはテキスト情報であり、スキャンされた画像内の情報や、Word文書のプロパティ、PDFのロゴや署名といった視覚的な要素は直接編集しないことに留意しよう。
実際の情報削除作業に入る前に、「置き換え計画」を作成することが非常に重要だ。これは、元の文書にあるどの情報を、どのように置き換えるかを示すリストである。
- 元の情報:クライアント会社名 → 置き換え:クライアントA
- 元の情報:担当者の氏名 → 置き換え:役職(例:営業部長)
- 元の情報:メールアドレス、電話番号 → 置き換え:削除
- 元の情報:正確な日付 → 置き換え:必要であれば大まかな期間(例:2023年第3四半期)
- 元の情報:商業上の数値 → 置き換え:削除または承認された範囲(例:売上高が20%増加)
- 元の情報:プロジェクトのコードネーム → 置き換え:中立的なプロジェクト名
このリストは、AIへの指示の基本となり、一貫性のある置き換えを保証する。また、置き換えリスト自体が機密情報となり得るため、厳重に管理する必要がある。
次に、この置き換え計画を使って、二段階でAIを活用する。 まず第一段階として、AIにいきなり文書を書き換えさせるのではなく、「識別できる可能性のある詳細」をリストアップさせる。「このドラフトをレビューし、クライアントや個人を特定できる可能性のある詳細をリストアップしてください。会社名、個人名、連絡先、プロジェクトコード、場所、正確な日付、および珍しい事実の組み合わせを引用し、なぜそれをレビューすべきかを説明してください。まだドラフトを書き換えないでください。」といった具体的な指示を出す。OGADは指示に従い、疑わしい箇所を特定し、その理由を説明してくれる。このリストと元の文書を照らし合わせ、AIが見落とした情報がないかを確認し、必要であれば手動で追加する。このステップは、情報検索と書き換えを分離することで、見落としを防ぎ、意図しない事実の変更を防ぐ上で非常に有効だ。
第二段階として、確認済みの置き換えリストを使って、AIに新しいドラフトを作成させる。「下記の置き換えリストを使用して、提供されたテキストを書き換えてください。教訓とイベントの順序は保持してください。代替の事実を捏造しないでください。詳細の削除により文が不明瞭になる場合は、一般的な説明を使用してください。改訂されたドラフトと変更点のリストを私に確認用として返してください。」と指示する。AIは指示に従い、元の文書を置き換えリストに基づいて書き換える。例えば、「ノースバンク・フーズ」を「ある食品会社」に置き換えるかもしれない。このとき、AIが「大手食品会社」や「ヨーロッパの食品会社」といった、元の文書にはなかった情報を付け加えていないかを確認することが重要だ。一般的な置き換えは、詳細を削除するものであり、新たな主張を導入するものではない。
AIが生成した改訂版のドラフトは、必ず元の文書と並べて比較し、細部まで人間が確認する必要がある。プライバシー保護が適切に行われているか、そして元の文書が伝えたかった「教訓」や意味が損なわれていないかを徹底的にチェックする。例えば、「ディレクターは最初の選択肢を拒否した」という記述が、「チームは最初の選択肢に同意した」に変わっていたら、それは教訓が根本的に変わってしまっていることになる。このような意味の歪曲がないかを注意深く確認する。
長文のドキュメントを扱う場合は、OGADのプロジェクト機能を活用する。文書全体を一度にAIに処理させようとすると、AIが全ての情報を正確に把握しきれない可能性があるため、セクションごとに分けて作業を進めるのが賢明だ。プロジェクト内のチャットで、各セクションについて「この部分からすべての名前を削除してください」といった指示を出す。ただし、AIが処理するのはあくまで選択された箇所であり、ドキュメント全体を網羅的にチェックするわけではない。そのため、人間の手で導入、事例、表、付録、脚注などを個別に確認するチェックリストを作成し、一つずつ丁寧に確認することが、見落としを防ぐ上で非常に効果的だ。
最後に、作成されたドラフトを実際に共有する前に、「最終的な確認」を行う必要がある。OGADはテキストを書き換えるツールであり、最終的に出力されるファイルそのものの全てのプロパティを保証するものではない。AIが生成したテキストを新しいクリーンな文書にコピーし、その文書をAIチャットの外で、手動で以下の項目をチェックする。
- ヘッダー、フッター、キャプション、リンク、埋め込み画像に機密情報がないか。
- コメントや変更履歴が削除され、元の情報が露呈しないか。
- ファイル名やドキュメントのプロパティ(作成者情報など)に機密情報がないか。
- PDFなどの最終的な出力形式で文書を開き、再度全体を読み直す。
- 置き換えリストの控えや元の文書が、誤って最終ファイルに含まれていないか。
これらは全て、OGADのテキスト書き換え機能ではカバーできない領域であり、人間が責任を持って確認する必要がある。
また、そもそもその事例を共有しても良いのか、という「倫理的な判断」も重要だ。もし、プロジェクトの教訓が非常に珍しい出来事、認識されやすい取引、あるいはデリケートな内容に依存している場合、単に名前を置き換えるだけでは不十分で、クライアントや関係者に共有の許可を求めるべきかもしれない。場合によっては、既存の事例を修正するのではなく、完全に新しい架空の事例を作成することが求められる可能性もある。元の機密情報を含む文書は、会社の情報管理ポリシーに従って適切に保管または削除することが重要だ。
この一連のプロセスは、最初は複雑に感じるかもしれないが、まずは短い文書からOGADを試してみることをお勧めする。識別情報の抽出、リストのレビュー、ドラフトの生成という手順を実際に体験することで、AIを効果的な編集アシスタントとして活用しながら、最終的な共有文書に対する自身の責任を明確に理解できるだろう。ローカルAIは強力なツールだが、常に人間の判断と責任が最終的な安全を確保することを忘れてはならない。