【ITニュース解説】Postgres 19 Reverted 8 to 10 Features and Now Targets Nov 19. Was AI Review the Cause?
2026年10月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「Postgres 19 Reverted 8 to 10 Features and Now Targets Nov 19. Was AI Review the Cause?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
PostgreSQL 19は主要機能が複数削除され、リリースが延期された。原因として、AIによるコードレビューが欠陥を早期発見し品質基準が上がった説と、セキュリティ対応で人間によるレビューが遅れた説がある。どちらもレビュー遅延と修正が間に合わなかった点は共通しており、AIレビュー活用時には人間が最終判断を担う重要性が示唆された。
ITニュース解説
人気のあるオープンソースのデータベース「PostgreSQL」の次期バージョンであるPostgreSQL 19の開発において、いくつかの大きな変更や延期があった。当初、PostgreSQL 19は2026年9月末か10月上旬にリリースされる予定だったが、最新の発表では2026年11月19日へと延期された。さらに、開発の最終段階で、これまで組み込まれる予定だった約8〜10個の重要な新機能が、リリースから見送られ、一時的に取り消されたのだ。
なぜこのような事態になったのか、その理由については開発コミュニティ内で議論が交わされている。主な意見は二つに分かれる。一つは、AIの進歩が原因だという見方、もう一つは、人間のレビューが遅れたことが原因だという見方だ。
PostgreSQLの開発者の一人であるピーター・アイゼントラウト氏は、AI、具体的には大規模言語モデル(LLM)を使ったコードレビューが、以前よりもはるかに早くプログラムの欠陥を発見できるようになったことを挙げている。これにより、開発中に設定されていた品質基準が、事実上、リリース直前になって引き上げられたというのだ。プログラムが書かれ、いったんデータベースのコードに組み込まれた後で、AIがより厳しい目でチェックするようになり、これまで見過ごされてきたようなアーキテクチャ上の根本的な問題や、細かい例外的なケースでの不具合が次々と見つかるようになった。これらの問題に対処するには手間と時間がかかるため、多くの新機能がリリースまでに修正しきれず、結果として取り消し(リバート)せざるを得なくなった、と説明している。彼はまた、多くのベテラン開発者が、昨年春から夏にかけて発生した多数のセキュリティ上の脆弱性(問題)への対応に忙殺され、新しい機能のテストやレビューに十分な時間を割けなかったことも一因だと付け加えている。
これに対し、別の開発者であるトマス・ヴォンドラ氏や、PostgreSQLのコンサルタントであるクリストフ・ペタス氏は、原因はAIレビューではなく、人間によるレビューが遅れたことにあると指摘している。ヴォンドラ氏が調査したところ、取り消された機能のうち、AIが原因を見つけたと言えるものはごく一部だったという。彼らの見解では、多くの開発者がセキュリティ問題への対応で手一杯だったため、新機能のレビューが開発サイクルのかなり遅い時期に集中してしまった。その結果、リリース直前になって、本来もっと早く見つけられるべきだった問題が一度に噴出し、修正が間に合わなくなったと分析している。つまり、AIがより多くの問題を見つけたというよりも、レビュー自体が遅れ、発見された問題が多すぎて対処しきれなかった、ということだ。
では、具体的にどのような機能がPostgreSQL 19から見送られたのだろうか。大きなものとしては、データベースで複雑なグラフ構造のデータを扱うための「SQL Property Graph Queries(SQL/PGQ)」、テーブルのパーティション(分割されたデータ)を結合したり分割したりする「ALTER TABLE ... MERGE/SPLIT PARTITION(S)」といった機能が挙げられる。これらは、最新のSQL標準にも含まれる先進的な機能だが、未解決の問題があったため、今回は見送られた。これらの機能の多くは、PostgreSQL 20以降の将来のバージョンで再び登場することが期待されている。一方で、「REPACK CONCURRENTLY」(データベースのパフォーマンスを改善する処理を、データベースを停止させずに行う機能)や、「論理レプリケーションのシーケンス対応」(データベースの複製機能がより多くの種類のデータを扱えるようになる機能)、「pg_plan_advice」(クエリの実行計画に関するアドバイスを提供するツール)といった重要な機能は、PostgreSQL 19に残されている。
今回の出来事から、システムエンジニアを目指す初心者が学ぶべき重要な教訓がいくつかある。一つは、たとえAIがコードレビューに導入されたとしても、その結果の最終的な責任は人間が負うべきだということだ。AIは多くの問題を発見する強力なツールだが、その発見が本当に問題なのか、どのように解決すべきか、といった判断は人間が行う必要がある。AIが大量の「指摘」を出しても、それを確認し、対処する人間のリソースがなければ、かえって開発プロセスを遅らせてしまう可能性もある。プログラムの変更提案(プルリクエスト)の段階で、AIを活用して徹底的にレビューを行うことで、後になってから大きな変更(リバート)を行うコストを避けることができる。
もしあなたがPostgreSQL 19へのアップグレードを計画していたならば、今回のリリース延期と機能の見送りを受けて、その計画を見直す必要がある。PostgreSQL 19のベータ版やリリース候補版は、まだ本番環境での利用には適していないとされている。現時点では、PostgreSQL 18が安定しており、安全なアップグレード先として推奨されている。もし新しいPostgreSQL 19の機能を試してみたい場合は、本番環境ではないテスト環境で、提供されているpg_upgrade --checkコマンドを使って、現在のデータベースとの互換性を確認してみると良いだろう。このコマンドは、データを変更せずに互換性だけをチェックできるため、安心して利用できる。そして、PostgreSQL 19のリリースノートを注意深く読み、今回見送られた機能(例えば、GROUP BY ALLやSQL/PGQなど)に依存する計画だった場合は、それらを外して再検討することが賢明だ。
今回のPostgreSQL 19の件は、AIがソフトウェア開発にもたらす影響と、それに対する人間の適切な関わり方を考える上で貴重な事例だ。AIは強力な味方となり得るが、最終的な品質と責任は、常に人間のエンジニアが担うべきものだということを教えてくれる出来事であった。