【PHP8.x】createDocumentメソッドの使い方
createDocumentメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。
基本的な使い方
createDocumentメソッドは、PHPのDOMImplementationクラスに属し、新しいDOMドキュメントオブジェクトを生成するメソッドです。DOMドキュメントとは、XMLやHTMLのような構造化された文書をプログラムで表現し、操作するためのオブジェクトモデルを指します。このメソッドを使うことで、ゼロから新しいXMLまたはHTMLドキュメントを作成し、その内容をプログラム的に構築していくことが可能になります。
第一引数として、ドキュメントの名前空間URIをstring型またはnullで指定します。これはXMLの要素や属性が属する名前空間を定義するために使用されます。第二引数には、作成されるドキュメントのルート要素の修飾名をstring型またはnullで指定します。この修飾名には、名前空間のプレフィックスを含めることができます。第三引数はオプションで、DOMDocumentTypeオブジェクト、つまり文書型定義(DTD)を表すオブジェクトを指定できます。これにより、作成されるドキュメントに特定のDTDを適用することが可能です。
これらの引数を適切に設定することで、生成されるドキュメントの基本的な構造や整合性を定義できます。メソッドは、新しく生成されたDOMDocumentオブジェクトを返します。この返されたオブジェクトを通じて、要素の追加、属性の設定、テキストノードの作成など、ドキュメントのコンテンツを詳細に操作できるようになります。ウェブアプリケーションで動的にXMLデータを生成したり、特定のフォーマットのドキュメントを作成する際に非常に役立つ基本的な機能です。
構文(syntax)
1<?php 2$domImplementation = new DOMImplementation(); 3 4// 引数は全てオプションです。 5// string型: $namespace => ルート要素の名前空間URI 6// string型: $qualifiedName => ルート要素の修飾名 7// DOMDocumentType型: $doctype => ドキュメント型ノード 8$document = $domImplementation->createDocument( 9 $namespace = null, 10 $qualifiedName = null, 11 $doctype = null 12); 13?>
引数(parameters)
?string $namespaceURI = null, string $qualifiedName = '', ?DOMDocumentType $doctype = null
- ?string $namespaceURI = null: 作成するXMLドキュメントの名前空間URI。省略またはnullを指定すると、名前空間のないドキュメントが作成されます。
- string $qualifiedName = '': 作成するXMLドキュメントのルート要素の修飾名(例: 'html', 'svg')。
- ?DOMDocumentType $doctype = null: 作成するXMLドキュメントのDOCTYPE宣言。省略またはnullを指定すると、DOCTYPE宣言のないドキュメントが作成されます。
戻り値(return)
DOMDocument
新しいDOMDocumentオブジェクトを生成し、返します。このオブジェクトは、XMLまたはHTMLドキュメントを作成するために使用できます。
サンプルコード
PHP DOM: createDocument と createDocumentFragment でXML作成
1<?php 2 3/** 4 * DOMImplementation::createDocument を使用して新しいXMLドキュメントを作成し、 5 * その中で DOMDocument::createDocumentFragment を利用するサンプル。 6 * 7 * システムエンジニアを目指す初心者向けに、XMLドキュメントの基本的な構築方法を示します。 8 */ 9function createAndManipulateDomDocument(): void 10{ 11 // 1. DOMImplementation のインスタンスを作成します。 12 // このオブジェクトは、新しいドキュメントを作成するためのメソッドを提供します。 13 $domImplementation = new DOMImplementation(); 14 15 // オプションで、DTD (Document Type Definition) を作成します。 16 // createDocument メソッドは、この DTD を新しいドキュメントに関連付けることができます。 17 $doctype = $domImplementation->createDocumentType('myroot', '', 'myroot.dtd'); 18 19 // 2. createDocument を使用して新しい DOMDocument を作成します。 20 // 引数: 21 // - $namespaceURI: XML 名前空間URI(例: 'http://www.example.com/ns') 22 // - $qualifiedName: ルート要素の修飾名(例: 'ns:myroot') 23 // - $doctype: 上で作成した DOMDocumentType オブジェクト(オプション) 24 // このメソッドは、指定された名前空間とルート要素を持つ新しいDOMDocumentオブジェクトを返します。 25 $document = $domImplementation->createDocument( 26 'http://www.example.com/mynamespace', // 新しいドキュメントの名前空間URI 27 'mynamespace:data', // ルート要素の修飾名 28 $doctype // オプションのDOCTYPE 29 ); 30 31 // 生成されるXMLを読みやすくするために、整形を有効にします。 32 $document->formatOutput = true; 33 34 // createDocument によって自動的に作成されたルート要素を取得します。 35 $rootElement = $document->documentElement; 36 37 // 3. ドキュメントフラグメント (DocumentFragment) を作成し、複数のノードを追加します。 38 // ドキュメントフラグメントは、複数のノードを一時的に保持し、 39 // 後で効率的にドキュメントツリーに追加するための軽量なコンテナです。 40 // フラグメント自体は最終的なドキュメントツリーの一部として表示されません。 41 $fragment = $document->createDocumentFragment(); 42 43 // フラグメントに最初の新しい要素(<item id="a1">データ1</item>)を追加します。 44 $item1 = $document->createElement('item'); 45 $item1->setAttribute('id', 'a1'); 46 $item1->textContent = 'データ1'; 47 $fragment->appendChild($item1); 48 49 // フラグメントに2番目の新しい要素(<item id="a2">データ2</item>)を追加します。 50 $item2 = $document->createElement('item'); 51 $item2->setAttribute('id', 'a2'); 52 $item2->textContent = 'データ2'; 53 $fragment->appendChild($item2); 54 55 // 作成したドキュメントフラグメントをルート要素に追加します。 56 // この操作により、フラグメントの子ノード(item1とitem2)が、 57 // フラグメントがあった位置に直接挿入されます。 58 $rootElement->appendChild($fragment); 59 60 // 4. 生成されたXMLドキュメントの内容を表示します。 61 echo "生成されたXMLドキュメント:\n"; 62 echo $document->saveXML(); 63} 64 65// 上記の関数を実行して、XMLドキュメントの作成と操作の例を確認します。 66createAndManipulateDomDocument();
DOMImplementation::createDocumentメソッドは、PHPで新しいXMLドキュメント(DOMDocumentオブジェクト)を一から作成するために使用されます。このメソッドは、第一引数でXML名前空間URI、第二引数でルート要素の修飾名(例: prefix:tag)、そして第三引数でオプションのDOMDocumentType(DTD)を指定できます。これらの設定が適用されたDOMDocumentオブジェクトを戻り値として返します。
サンプルコードでは、まずDOMImplementationのインスタンスを作成し、createDocumentTypeでDTDを準備しています。次に、createDocumentを使って指定した名前空間とルート要素、そしてDTDを持つ新しいDOMDocumentを生成しています。生成されたドキュメントはformatOutputをtrueに設定することで、出力時に読みやすく整形されます。
さらに、DOMDocument::createDocumentFragmentを利用してドキュメントフラグメントを作成し、その中に複数の<item>要素を追加しています。このドキュメントフラグメントは、複数のノードを効率的にドキュメントツリーに追加するための一時的なコンテナであり、フラグメント自体は最終的なXMLドキュメントには含まれず、その子ノードのみが挿入されます。これにより、複数の要素をまとめてルート要素に追加する操作が簡潔に行われています。最終的にsaveXML()メソッドで構築されたXMLコンテンツが出力され、PHPでXMLドキュメントをプログラム的に作成する基本的な流れが示されています。
createDocumentで新しいXMLドキュメントを作成する際、第一引数の名前空間URIと第二引数の修飾名を正しく指定することが重要です。特に修飾名にプレフィックスを使用する場合、そのプレフィックスに対応する名前空間URIがドキュメントに適切に定義されます。createDocumentFragmentは複数のノードを一時的に保持し、まとめてドキュメントに追加する際に役立ちます。このフラグメント自身は最終的なXMLツリーには含まれず、その子ノードだけが挿入される点に注意してください。サンプルにあるformatOutput = trueはXMLを見やすく整形しますが、大規模なデータや本番環境ではパフォーマンスに影響を与える可能性があります。また、XMLの生成や操作は予期せぬエラーが発生することもあるため、堅牢なシステムでは適切なエラーハンドリングの実装が不可欠です。