【PHP8.x】__wakeupメソッドの使い方

__wakeupメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

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基本的な使い方

__wakeupメソッドは、dom\domexceptionクラスのインスタンスがunserialize()関数によってデシリアライズ(非直列化)された直後に自動的に実行されるメソッドです。PHPでは、オブジェクトを文字列形式に変換するserialize()関数と、その文字列から元のオブジェクトを復元するunserialize()関数が提供されています。__wakeupメソッドは、このように復元されたオブジェクトが、再び正常に機能するための準備を行う目的で定義されることがあります。例えば、直列化中に切断されたデータベース接続の再確立や、ファイルハンドルなどのリソースの再オープンといった初期化処理が該当します。

しかしながら、dom\domexceptionは、XMLやHTMLなどのDOM操作中に発生するエラーを表す例外クラスであり、PHPの基本的なExceptionクラスを継承しています。PHP 7.4以降、Exceptionクラスおよびそれを継承するクラスのインスタンスをserialize()関数で直列化し、unserialize()関数でデシリアライズする機能は非推奨となりました。PHP 8では、この操作を行うと警告が発生するようになり、将来のバージョン(PHP 9.0)では完全にサポートが削除される予定です。

したがって、dom\domexceptionオブジェクトの__wakeupメソッドは、現在ではほとんど利用されることがなく、その利用は推奨されません。システムエンジニアを目指す初心者の方は、例外オブジェクトを直列化・デシリアライズする処理自体を避け、例外処理は通常のtry-catchブロック内で完結させることを強く推奨します。

構文(syntax)

1public DOMException::__wakeup(): void

引数(parameters)

引数なし

引数はありません

戻り値(return)

戻り値なし

戻り値はありません

サンプルコード

PHP __wakeup バイパス入門

1<?php
2
3/**
4 * PHPのデシリアライゼーションにおけるマジックメソッド `__wakeup()` のバイパス方法を
5 * システムエンジニアを目指す初心者向けに簡潔に解説するサンプルコードです。
6 *
7 * このコードは、PHPの組み込みクラスである `\DOMException` を例に使用しています。
8 * `__wakeup()` メソッドは、オブジェクトがデシリアライズされる際に自動的に呼び出される
9 * PHPのマジックメソッドです。通常、オブジェクトの再初期化処理などに利用されます。
10 *
11 * PHP 7.0以降のバージョンでは、シリアライズされた文字列内にオブジェクトのプロパティ数を示す
12 * 数値が実際のプロパティ数よりも多く指定されている場合、`__wakeup()` メソッドは呼び出されずに
13 * デシリアライズが完了します。この挙動は、PHPオブジェクトインジェクション(POI)攻撃において、
14 * 意図しない `__wakeup()` の副作用を回避するために利用されることがあります。
15 *
16 * 注意:
17 * 標準のPHPにおける `\DOMException` クラスには、`__wakeup()` メソッドは定義されていません。
18 * このサンプルコードは、「もし `\DOMException` に `__wakeup()` が存在した場合、
19 * それをどのようにバイパスできるか」というデモンストレーションとして作成されています。
20 */
21function demonstrateWakeupBypass(): void
22{
23    // 1. `\DOMException` オブジェクトの作成
24    // `\DOMException` は通常、DOM操作中に発生するエラーを表す例外クラスです。
25    // ここでは、デモンストレーションのために手動でインスタンスを作成します。
26    $originalException = new \DOMException("A sample DOM error occurred.", 500);
27
28    echo "--- 元のオブジェクトの状態 ---" . PHP_EOL;
29    var_dump($originalException);
30    echo PHP_EOL;
31
32    // 2. オブジェクトをシリアライズ(文字列に変換)する
33    $serializedData = serialize($originalException);
34    echo "--- シリアライズされたデータ ---" . PHP_EOL;
35    echo $serializedData . PHP_EOL . PHP_EOL;
36    // シリアライズされたデータ形式の例:
37    // O:11:"DOMException":7:{s:7:"message";s:27:"A sample DOM error occurred.";s:8:"previous";N;s:4:"file";s:60:"/path/to/script.php";s:4:"line";i:26;s:5:"trace";a:0:{}s:4:"code";i:500;s:8:"severity";i:0;}
38    // `O:11:"DOMException":7:` の `7` の部分がオブジェクトのプロパティ数を示します。
39    // (プロパティ数はPHPのバージョンやExceptionクラスの実装によって変動する場合があります)。
40
41    // シリアライズされた文字列から、オブジェクトのクラス名とプロパティ数を正規表現で抽出します。
42    // これにより、PHPのバージョンによるプロパティ数の違いに対応できます。
43    if (preg_match('/^O:\d+:"(?P<className>[^"]+)":(?P<propCount>\d+):{/', $serializedData, $matches)) {
44        $className = $matches['className'];
45        $originalPropCount = (int)$matches['propCount'];
46        echo "元のクラス名: " . $className . PHP_EOL;
47        echo "元のプロパティ数: " . $originalPropCount . PHP_EOL;
48
49        // 3. `__wakeup()` をバイパスするために、シリアライズ文字列内のプロパティ数を意図的に増やす
50        // 実際のプロパティ数よりも大きい値を指定することで、`__wakeup()` がスキップされます。
51        $bypassedPropCount = $originalPropCount + 1;
52        echo "バイパス用のプロパティ数 (意図的に増やした数): " . $bypassedPropCount . PHP_EOL . PHP_EOL;
53
54        // シリアライズされた文字列を加工
55        // 例: `O:11:"DOMException":7:{...}` を `O:11:"DOMException":8:{...}` に変更します。
56        $bypassedSerializedData = preg_replace(
57            '/^O:\d+:"' . preg_quote($className) . '":\d+:{/',
58            'O:' . strlen($className) . ':"' . $className . '":' . $bypassedPropCount . ':{',
59            $serializedData
60        );
61
62        echo "--- `__wakeup()` がバイパスされるように加工されたシリアライズデータ ---" . PHP_EOL;
63        echo $bypassedSerializedData . PHP_EOL . PHP_EOL;
64
65        // 4. 加工された文字列をデシリアライズする
66        // PHP 7.0以降では、この `unserialize()` 呼び出し時に `__wakeup()` メソッドは呼び出されません。
67        $bypassedException = unserialize($bypassedSerializedData);
68
69        echo "--- `__wakeup()` がバイパスされたデシリアライズ結果 ---" . PHP_EOL;
70        var_dump($bypassedException);
71        echo "期待される結果: " . PHP_EOL;
72        echo "もし `\DOMException` に `__wakeup()` が定義されていたとしても、" .
73             "このデシリアライズではそのメソッドは呼び出されません。" . PHP_EOL;
74        echo "デシリアライズされたオブジェクトは有効ですが、`__wakeup()` 内の初期化ロジックはスキップされます。" . PHP_EOL . PHP_EOL;
75    } else {
76        echo "エラー: シリアライズされたデータからクラス名またはプロパティ数を抽出できませんでした。" . PHP_EOL;
77    }
78}
79
80// サンプル関数の実行
81demonstrateWakeupBypass();
82
83?>

このサンプルコードは、PHPのマジックメソッド__wakeup()がデシリアライズ時に呼び出される挙動を、システムエンジニアを目指す初心者にもわかるように、意図的にスキップ(バイパス)する方法を解説します。__wakeup()は、オブジェクトがデシリアライズされた直後に自動的に呼び出される特殊なメソッドで、引数はなく、戻り値もありません。通常、オブジェクトの状態を再初期化する目的などに利用されます。

コードでは、PHPの組み込みクラスである\DOMExceptionを例にしていますが、このクラスには通常__wakeup()メソッドは定義されていません。本コードは、「もし\DOMException__wakeup()が存在した場合、それをどうバイパスできるか」というデモンストレーションとして作成されています。

PHP 7.0以降では、オブジェクトがシリアライズされた文字列内に記述されているプロパティ数が、実際のオブジェクトのプロパティ数よりも多い場合、unserialize()関数は__wakeup()を呼び出しません。この仕組みを利用し、サンプルコードではシリアライズデータ中のプロパティ数を意図的に増やして加工し、その文字列をデシリアライズすることで、__wakeup()の呼び出しがスキップされることを示しています。この挙動は、PHPオブジェクトインジェクション(POI)攻撃において、意図しない__wakeup()の副作用を回避するために利用されることがあります。

このサンプルコードは、\DOMExceptionクラスには本来__wakeup()メソッドが定義されていないため、あくまで概念実証として動作を示しています。PHP 7.0以降では、シリアライズされた文字列内のプロパティ数を意図的に実際の数より多くすることで、オブジェクトがデシリアライズされる際に__wakeup()が呼び出されない挙動を利用しています。この手法は、PHPオブジェクトインジェクション攻撃において、予期せぬ__wakeup()の副作用を回避するために使われることがあります。そのため、通常のアプリケーション開発で意図的に利用するものではなく、セキュリティ上の脆弱性やその回避策を理解するための学習目的として参照してください。

PHP __wakeup() でオブジェクトを復元する

1<?php
2
3declare(strict_types=1);
4
5/**
6 * __wakeup マジックメソッドの動作を説明するためのサンプルクラス
7 *
8 * データベース接続など、シリアライズできないリソースを持つオブジェクトを想定しています。
9 */
10class ConnectionManager
11{
12    /**
13     * @var string 接続情報 (このプロパティはシリアライズされる)
14     */
15    private string $dataSourceName;
16
17    /**
18     * @var ?object 接続リソースの代わり (このプロパティはシリアライズされない)
19     */
20    private ?object $connection = null;
21
22    public function __construct(string $dsn)
23    {
24        $this->dataSourceName = $dsn;
25        $this->connect();
26    }
27
28    /**
29     * 接続処理を模倣する
30     */
31    private function connect(): void
32    {
33        echo "接続を確立しました: {$this->dataSourceName}" . PHP_EOL;
34        // 実際にはデータベース接続リソースなどをここに格納する
35        $this->connection = new stdClass();
36    }
37
38    /**
39     * serialize() 実行時に呼び出されるマジックメソッド
40     *
41     * シリアライズするプロパティのリストを返す。
42     * 接続リソース($connection)はシリアライズできないため、リストから除外する。
43     */
44    public function __sleep(): array
45    {
46        echo '__sleep() が呼び出されました。接続リソースを破棄します。' . PHP_EOL;
47        $this->connection = null;
48        return ['dataSourceName'];
49    }
50
51    /**
52     * unserialize() 実行時に呼び出されるマジックメソッド
53     *
54     * オブジェクトが復元された後に、失われたリソースを再初期化する処理を記述する。
55     * ここでは、データベース接続を再確立している。
56     * DOMException::__wakeup も、デシリアライズを制御する目的で定義されています。
57     */
58    public function __wakeup(): void
59    {
60        echo '__wakeup() が呼び出されました。' . PHP_EOL;
61        $this->connect();
62    }
63
64    /**
65     * 接続状態を返す
66     */
67    public function isConnected(): bool
68    {
69        return $this->connection !== null;
70    }
71}
72
73// 1. オブジェクトをインスタンス化する
74$manager = new ConnectionManager('mysql:host=localhost;dbname=test');
75echo 'インスタンス化後の接続状態: ' . ($manager->isConnected() ? '接続中' : '切断') . PHP_EOL;
76echo PHP_EOL;
77
78// 2. オブジェクトをシリアライズする
79// このとき __sleep() が呼ばれ、接続リソースが失われる
80$serializedManager = serialize($manager);
81echo 'シリアライズされたデータ: ' . $serializedManager . PHP_EOL;
82echo PHP_EOL;
83
84// 3. シリアライズされたデータからオブジェクトを復元する
85// このとき __wakeup() が呼ばれ、接続が再確立される
86$unserializedManager = unserialize($serializedManager);
87echo '復元後の接続状態: ' . ($unserializedManager->isConnected() ? '接続中' : '切断') . PHP_EOL;
88

PHPの__wakeupメソッドは、unserialize()関数によってオブジェクトが復元される際に自動的に呼び出される特別なマジックメソッドです。このメソッドは引数を取らず、戻り値もありません。主な役割は、デシリアライズ後にオブジェクトの内部状態を整えたり、失われたりシリアライズされなかったりしたリソース(例えばデータベース接続やファイルハンドルなど)を再初期化したりすることです。

このサンプルコードでは、ConnectionManagerクラスがデータベース接続のような外部リソースを持つオブジェクトを模倣しています。オブジェクトをserialize()する際、__sleep()メソッドが呼び出され、一時的に接続リソースが破棄されます。その後、unserialize()によってオブジェクトが復元されると、この__wakeup()メソッドが自動的に実行され、新たな接続リソースが再確立されます。これにより、デシリアライズ後もオブジェクトが正常に機能する状態を保つことができます。dom\domexceptionクラスも、デシリアライズ時に特別な初期化処理が必要な場合に__wakeupを定義しています。

このサンプルコードは、オブジェクトのシリアライズ(文字列化)とデシリアライズ(オブジェクト復元)の際に、データベース接続のようなシリアライズできないリソースを適切に扱う方法を示しています。特に__wakeupマジックメソッドは、オブジェクトがデシリアライズされた直後に自動で呼び出され、__sleepで失われたリソースを再確立する役割を持ちます。例えば、デシリアライズ後にデータベース接続を再確立する、ファイルハンドルを再度開く、といった初期化処理を記述する際に利用します。信頼できないソースからデシリアライズを行うと、悪意のあるデータにより予期せぬ動作や脆弱性を引き起こす可能性があるため、利用には十分な注意が必要です。DOMExceptionクラスに定義された__wakeupも、同様にデシリアライズ時のオブジェクトの適切な状態復元を目的としています。

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