【PHP8.x】insertBeforeメソッドの使い方

insertBeforeメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

作成日: 2025年09月11日更新日: 2025年11月15日

基本的な使い方

『insertBeforeメソッドは、参照ノードの前に新しい子ノードを挿入するメソッドです。このメソッドはDOMNodeクラスから継承されているためDOMAttrクラスにも存在しますが、属性ノードに対して使用する際には特別な注意が必要です。DOMの仕様上、属性ノードは要素ノードのような子ノードを持つことができません。属性ノードが子として保持できるのは、その属性値を構成するテキストノードやエンティティ参照ノードのみです。したがって、DOMAttrオブジェクトに対してinsertBeforeメソッドを用いて新しい子ノードを挿入しようとすると、ノードの階層構造に関するルールに違反するため、処理は必ず失敗します。この操作を試みた場合、HIERARCHY_REQUEST_ERRというエラーコードを持つDOMExceptionがスローされます。属性の値を変更または設定したい場合は、このメソッドではなく、DOMAttrオブジェクトが持つvalueプロパティに直接値を代入するのが正しい方法です。このように、insertBeforeメソッドはDOMAttrクラスのメソッドとして定義されていますが、その特性から実質的に使用することはできず、常に例外を引き起こす点に留意してください。

構文(syntax)


1<?php
2
3// DOMDocumentオブジェクトと要素を作成します
4$doc = new DOMDocument();
5$element = $doc->createElement('greeting');
6
7// 属性を作成し、初期値を設定します
8$attr = $doc->createAttribute('message');
9$attr->value = ' World!'; // この値が基準となる子ノードになります
10
11// 挿入する新しいテキストノードを作成します
12$newTextNode = $doc->createTextNode('Hello');
13
14// 属性の値（子ノード）の先頭に、新しいノードを挿入します
15$attr->insertBefore($newTextNode, $attr->firstChild);
16
17// 準備した要素と属性を組み立てます
18$element->setAttributeNode($attr);
19$doc->appendChild($element);
20
21// 結果を出力します
22// <greeting message="Hello World!"/>
23echo $doc->saveXML($element);
24
25?>

引数(parameters)

DOMNode $node, ?DOMNode $child = null

DOMNode $node: 挿入するノードを指定します。
?DOMNode $child = null: $node を挿入する前に配置する既存のノードを指定します。省略された場合は、既存のノードの末尾に挿入されます。

戻り値(return)

DOMNode

DOMAttr::insertBeforeメソッドは、指定されたノードをこの属性ノードの前に挿入します。挿入されたノードを返します。

サンプルコード

PHP DOMAttr insertBeforeで属性値にノードを挿入する


1<?php
2
3/**
4 * DOMAttr::insertBefore の使用例
5 *
6 * このスクリプトは、DOMAttr クラスが DOMNode::insertBefore メソッドをどのように使用するかを示します。
7 * 属性の値を構成する DOMText ノード間に新しいノードを挿入します。
8 *
9 * DOMAttr は通常、テキスト値のみを持つため、insertBefore は属性のテキスト値の
10 * 内部構造 (DOMText ノード) を操作することになります。
11 */
12
13// 1. DOMDocument オブジェクトを作成
14$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
15$dom->formatOutput = true; // 出力を見やすくするための設定
16
17// 2. ルート要素を作成し、DOMDocument に追加
18$rootElement = $dom->createElement('data');
19$dom->appendChild($rootElement);
20
21// 3. 属性を作成
22$attribute = $dom->createAttribute('exampleAttr');
23
24// 4. 属性に DOMText ノードを追加して初期値を設定
25// この例では、insertBefore の動作を示すため、複数のテキストノードで属性の値を構成します。
26$textNode1 = $dom->createTextNode('part1');
27$textNode2 = $dom->createTextNode('part2');
28$textNode3 = $dom->createTextNode('part3');
29
30$attribute->appendChild($textNode1);
31$attribute->appendChild($textNode2);
32$attribute->appendChild($textNode3);
33
34// 現在の属性値は "part1part2part3" となります。
35echo "初期属性値: " . $attribute->nodeValue . "\n";
36echo "---------------------------------\n";
37
38// 5. 新しく挿入する DOMText ノードを作成
39$textToInsert = $dom->createTextNode('_INSERTED_');
40
41// 6. DOMAttr::insertBefore を使用して、既存の $textNode2 の前に $textToInsert を挿入
42// DOMAttr は DOMNode を継承しているため、insertBefore メソッドを利用できます。
43// ここでは、$textToInsert を $attribute の子ノードとして、$textNode2 の直前に挿入します。
44$insertedNode = $attribute->insertBefore($textToInsert, $textNode2);
45
46echo "insertBefore 呼び出し後:\n";
47echo "新しい属性値: " . $attribute->nodeValue . "\n";
48echo "挿入されたノードの nodeValue: " . $insertedNode->nodeValue . "\n";
49echo "---------------------------------\n";
50
51// 7. 属性をルート要素に追加（オプションだが、XML出力に必要）
52$rootElement->setAttributeNode($attribute);
53
54// 8. 最終的な XML ドキュメントを出力して確認
55echo "最終的な XML ドキュメント:\n";
56echo $dom->saveXML();
57
58// 期待される出力:
59// <data exampleAttr="part1_INSERTED_part2part3"/>

DOMAttr::insertBeforeメソッドは、XMLやHTML要素の属性を表すDOMAttrオブジェクトの内部に、新しいノードを挿入する際に使用されます。DOMAttrの属性値は、一つ以上のDOMTextノードによって構成されることがあり、このメソッドを使うことで、それら子ノードの並びを操作できます。

第一引数$nodeには挿入したいDOMNodeを指定し、第二引数$childには、$nodeをその直前に挿入したい既存の子ノードを指定します。もし$childを省略すると、$nodeは属性の子ノードリストの末尾に追加されます。メソッドは、実際に挿入されたDOMNodeを戻り値として返します。

サンプルコードでは、exampleAttrという属性にpart1、part2、part3の3つのDOMTextノードを追加し、初期値part1part2part3としています。その後、_INSERTED_という新しいDOMTextノードをpart2ノードの直前に挿入することで、属性値がpart1_INSERTED_part2part3へと変化する様子を示しています。これにより、属性値を構成する内部のノード構造を柔軟に変更できることが確認できます。

「DOMAttr::insertBefore」は、属性値の内部構造、具体的にはDOMTextノードの連なりの間に、新しいノードを挿入するメソッドです。初心者が注意すべきは、属性値が単一の文字列ではなく、複数のDOMTextノードで構成され得る点です。このメソッドは、そのDOMTextノードの間に新たなDOMNode（例: DOMTextノード）を挿入するために使われます。挿入するノードと、挿入位置の基準となるノードは、必ずDOMNodeオブジェクトとして渡してください。文字列を直接渡すとエラーになりますので、DOMText::createTextNodeなどで適切にノードを作成することが重要です。また、基準ノードを省略（null指定）した場合は、子ノードの末尾に挿入されます。戻り値は挿入されたノード自身です。