【PHP8.x】normalizeメソッドの使い方
normalizeメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。
基本的な使い方
normalizeメソッドは、Dom\Documentクラスに属するメソッドで、XMLドキュメントを正規化するために使用されます。具体的には、ドキュメントの構造を整理し、無駄なテキストノードを削除したり、隣接するテキストノードを結合したり、空のテキストノードを削除したりといった処理を行います。
XMLドキュメントは、編集やプログラムによる操作の結果、構造が最適でない状態になることがあります。例えば、要素間に不要な空白テキストノードが残ったり、連続するテキストノードが分割されたままになったりする場合があります。このような非効率な構造は、ドキュメントの解析や処理のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
normalizeメソッドを呼び出すことで、これらの問題を解決し、ドキュメントの構造をより効率的で一貫性のある状態にすることができます。これにより、XPath式などを用いた要素の検索や、ドキュメントの変換処理などがスムーズに行えるようになります。
このメソッドは、ドキュメント全体を走査して構造を調整するため、大規模なドキュメントに対して実行すると時間がかかる場合があります。しかし、ドキュメントの構造が複雑で、処理の効率が悪い場合は、normalizeメソッドを実行することで、全体的なパフォーマンスを向上させることができます。特に、ドキュメントを外部から読み込んだり、編集を頻繁に行うようなアプリケーションでは、定期的にnormalizeメソッドを実行することを検討すると良いでしょう。正規化されたドキュメントは、他のXML処理ライブラリとの互換性も高まります。
構文(syntax)
1<?php 2$dom = new DomDocument(); 3$dom->loadXML('<root><child>text</child><!-- comment --></root>'); 4$dom->normalize(); 5echo $dom->saveXML(); 6?>
引数(parameters)
引数なし
引数はありません
戻り値(return)
void
このメソッドは、DOMドキュメント内のノードを正規化します。具体的には、隣接するテキストノードを結合し、空のテキストノードを削除します。戻り値はありません。
サンプルコード
PHP DomDocument normalizeでDOMを整理する
1<?php 2 3/** 4 * Dom\Document::normalize() メソッドの動作を示すサンプルコードです。 5 * 6 * このメソッドは、DOMツリーを「正規化」します。 7 * 具体的には、以下の処理を行います。 8 * 1. 空のテキストノードを削除します。 9 * 2. 連続するテキストノード(同じ親を持つ兄弟ノードで、間に要素ノードなどがない場合)を1つのテキストノードに結合します。 10 * これにより、DOMツリーがより簡潔な形になり、処理がしやすくなります。 11 */ 12function demonstrateDomDocumentNormalize(): void 13{ 14 // 1. Dom\Document インスタンスを作成します。 15 // HTMLやXMLを扱うための基盤となるオブジェクトです。 16 $dom = new \Dom\Document(); 17 18 // 出力されるXMLを見やすくするために、formatOutputをtrueに設定します。 19 // これはnormalize()の動作には直接関係ありませんが、結果の可読性を高めます。 20 $dom->formatOutput = true; 21 22 // 2. 意図的に複数のテキストノードが連続するようにDOM要素を構築します。 23 // まず、ルートとなる要素 'example' を作成し、ドキュメントに追加します。 24 $root = $dom->createElement('example'); 25 $dom->appendChild($root); 26 27 // 複数のテキストノードを連続して追加します。 28 // これらは後でnormalize()によって結合されることを期待します。 29 $root->appendChild($dom->createTextNode('これは')); 30 $root->appendChild($dom->createTextNode('結合される')); 31 $root->appendChild($dom->createTextNode('テキストです。')); 32 33 // さらに、空のテキストノードも追加してみます。 34 // これはnormalize()によって削除されるはずです。 35 $root->appendChild($dom->createTextNode('')); 36 37 // 別の要素を間に挟むことで、連続しないテキストノードの例も示します。 38 // このテキストは、間に<span>要素があるため、前後のテキストとは結合されません。 39 $span = $dom->createElement('span'); 40 $span->textContent = ' この部分は独立しています。 '; 41 $root->appendChild($span); 42 43 // 再び連続するテキストノードを追加します。 44 $root->appendChild($dom->createTextNode(' そして、')); 45 $root->appendChild($dom->createTextNode('さらに結合されるテキストです。')); 46 47 // --- 正規化前のDOM構造を確認 --- 48 echo "--- 正規化前のDOM構造 ---\n"; 49 // ルート要素内のテキストノードの数をカウントし、比較のために表示します。 50 $textNodeCountBefore = 0; 51 foreach ($root->childNodes as $node) { 52 if ($node->nodeType === XML_TEXT_NODE) { 53 $textNodeCountBefore++; 54 } 55 } 56 echo " 'example' 要素内のテキストノード数: " . $textNodeCountBefore . "\n"; 57 // 現在のDOMツリーをXML形式で出力し、目で確認できるようにします。 58 echo $dom->saveXML() . "\n\n"; 59 60 // 3. Dom\Document::normalize() メソッドを呼び出します。 61 // これにより、DOMツリーが正規化されます。 62 // このメソッドは戻り値がない (void) ため、変数に代入する必要はありません。 63 $dom->normalize(); 64 65 // --- 正規化後のDOM構造を確認 --- 66 echo "--- 正規化後のDOM構造 ---\n"; 67 // 正規化後のテキストノードの数を再度カウントし、変化を確認します。 68 $textNodeCountAfter = 0; 69 foreach ($root->childNodes as $node) { 70 if ($node->nodeType === XML_TEXT_NODE) { 71 $textNodeCountAfter++; 72 } 73 } 74 echo " 'example' 要素内のテキストノード数: " . $textNodeCountAfter . "\n"; 75 // 正規化後のDOMツリーをXML形式で出力します。 76 echo $dom->saveXML() . "\n"; 77 78 echo "\n// --- 解説 --- \n"; 79 echo "// 正規化前は複数の短いテキストノードや空のテキストノードが存在していましたが、\n"; 80 echo "// normalize() の呼び出しにより、それらが簡潔な形に整理されました。\n"; 81 echo "// 具体的には:\n"; 82 echo "// 1. 'これは', '結合される', 'テキストです。' という3つの連続したテキストノードは、\n"; 83 echo "// 'これは結合されるテキストです。' という1つのテキストノードに結合されました。\n"; 84 echo "// 2. 空のテキストノード ('') は削除されました。\n"; 85 echo "// 3. ' そして、', 'さらに結合されるテキストです。' という2つの連続したテキストノードも、\n"; 86 echo "// ' そして、さらに結合されるテキストです。' という1つのテキストノードに結合されました。\n"; 87 echo "// 4. <span>要素に挟まれたテキストは、その前後とは結合されず、独立したままです。\n"; 88 echo "// 結果として、'example' 要素内のテキストノードの総数が " . $textNodeCountBefore . " から " . $textNodeCountAfter . " に減少していることがわかります。\n"; 89 echo "// この処理は、DOMツリーを簡潔に保ち、より効率的な処理や比較を可能にするために役立ちます。\n"; 90} 91 92// 定義した関数を実行し、サンプルコードの動作を開始します。 93demonstrateDomDocumentNormalize();
Dom\Document::normalize() メソッドは、XMLやHTMLのDOM(Document Object Model)ツリーを「正規化」するための機能です。このメソッドは、ツリー内のテキストノードを整理し、DOM構造をより簡潔で扱いやすい形に整えます。
具体的には、二つの主要な処理を行います。まず、内容が空のテキストノードをDOMツリーから削除します。これにより、不要なノードが取り除かれ、ツリーがすっきりします。次に、同じ親要素を持つテキストノードが複数連続している場合、それらを一つの大きなテキストノードに結合します。例えば、「あ」「い」「う」という三つのテキストノードが連続していれば、「あいう」という一つのテキストノードにまとめられます。ただし、テキストノードの間に要素ノードなどが挟まっている場合は結合されません。
このメソッドには引数がなく、実行後に特別な値を返すことはありません(戻り値は void です)。メソッドを呼び出すと、対象の Dom\Document オブジェクトの内部状態が直接変更されます。
サンプルコードでは、意図的に複数のテキストノードや空のテキストノードを含むDOMツリーを作成し、normalize() メソッドを呼び出す前後の変化を確認しています。正規化前には複数の短いテキストノードや空ノードが存在しますが、メソッドの実行後は、連続するテキストノードが一つに結合され、空のノードは削除されていることが分かります。これにより、DOMツリーの複雑さが軽減され、後の処理や比較が容易になるというメリットがあります。
Dom\Document::normalize()メソッドは、引数なしで呼び出すことで、既存のDOMツリーを直接変更し正規化します。このメソッドは戻り値がない(void)ため、新しいDOMオブジェクトを返したりせず、DOMオブジェクトそのものが更新されることを理解しておく必要があります。具体的には、同じ親を持つ連続したテキストノードを一つにまとめたり、空のテキストノードを削除したりします。これによりDOMツリーが簡潔になりますが、ツリー構造が変更されるため、後続のDOM操作や探索に影響がないか注意が必要です。特に、プログラムで動的にDOMを操作している場合、意図しないテキストノードの結合や削除が発生し、期待する結果と異なることがあります。DOM操作の整合性を保ち、効率的な処理を実現するために利用されます。
PHP DomDocument normalize()でDOM正規化する
1<?php 2 3/** 4 * Dom\Document::normalize() メソッドの使用例。 5 * 6 * この関数は、Dom\Documentオブジェクトに複数の隣接するTextノードや空のTextノードを 7 * 手動で追加し、Dom\Document::normalize() メソッドの適用前と後でDOMツリーの 8 * Textノードの状態を比較します。 9 * normalize() メソッドは、DOMツリー内の隣接するTextノードを結合し、 10 * 空のTextノードを削除することで、ツリーを「正規化」します。 11 * 12 * PHPのDOM拡張機能は通常、PHPに標準でバンドルされているため、特別な「インストール」は 13 * ほとんどの場合不要です。もしDOM機能が利用できない場合は、PHPのビルド設定を確認してください 14 * (例: `--disable-dom` オプションが使われていないか)。 15 * 16 * キーワードにある「normalizer」という言葉が、Unicode正規化(例: 全角・半角の統一)を 17 * 目的とする場合は、`intl`拡張機能の `Normalizer` クラスを使用しますが、 18 * ここでは指定されたリファレンス情報 `Dom\Document::normalize` に従ってDOMの正規化を示します。 19 */ 20function demonstrateDomNormalization(): void 21{ 22 // 新しいDOMドキュメントを作成 (XML宣言を含む) 23 $dom = new Dom\Document('1.0', 'UTF-8'); 24 25 // ルート要素を作成し、ドキュメントに追加 26 $rootElement = $dom->createElement('root'); 27 $dom->appendChild($rootElement); 28 29 // テスト用の要素を作成し、ルート要素に追加 30 $paragraph = $dom->createElement('paragraph'); 31 $rootElement->appendChild($paragraph); 32 33 // 意図的に複数の隣接するTextノードと空のTextノードを追加 34 // これらは normalize() によって結合または削除される 35 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode('Part 1')); 36 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode(' ')); // 空白のみのTextノード 37 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode('Part 2')); 38 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode('')); // 空のTextノード 39 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode('Part 3')); 40 $paragraph->appendChild($dom->createTextNode("\nAnother\nLine")); // 複数行のTextノード 41 42 echo "--- 正規化前のDOMツリー情報 ---" . PHP_EOL; 43 displayNodeInfo($paragraph, 0); 44 45 // Dom\Document::normalize() メソッドを呼び出し 46 // これにより、paragraph要素の子ノードである隣接するTextノードが結合され、 47 // 空のTextノードが削除されます。 48 $dom->normalize(); 49 50 echo PHP_EOL . "--- 正規化後のDOMツリー情報 ---" . PHP_EOL; 51 displayNodeInfo($paragraph, 0); 52 53 echo PHP_EOL . "--- 正規化後のXML出力 ---" . PHP_EOL; 54 // normalize()後の結果をXMLとして出力(DOMDocument::saveXMLはDOMツリーを元に出力) 55 // Textノードが結合された状態で出力されることを確認できます。 56 echo $dom->saveXML($rootElement); 57} 58 59/** 60 * 指定されたDOMノードの子ノード情報を再帰的に表示する補助関数。 61 * normalize() メソッドの効果を視覚的に確認しやすくするために使用します。 62 * 63 * @param Dom\Node $node 現在のノード 64 * @param int $level 現在の階層レベル(インデント用) 65 */ 66function displayNodeInfo(Dom\Node $node, int $level): void 67{ 68 $indent = str_repeat(' ', $level); 69 foreach ($node->childNodes as $child) { 70 if ($child instanceof Dom\Text) { 71 $value = $child->nodeValue; 72 // 改行やタブを可視化して表示 73 $displayValue = str_replace(["\n", "\r", "\t"], ['\n', '\r', '\t'], $value); 74 if (trim($value) === '') { 75 // 空白または空のTextノード 76 echo $indent . "- Textノード (空白または空, 長さ: " . strlen($value) . ", 値: '" . $displayValue . "')" . PHP_EOL; 77 } else { 78 // 内容のあるTextノード 79 echo $indent . "- Textノード (長さ: " . strlen($value) . ", 値: '" . $displayValue . "')" . PHP_EOL; 80 } 81 } elseif ($child instanceof Dom\Element) { 82 echo $indent . "- Elementノード (タグ: <" . $child->tagName . ">)" . PHP_EOL; 83 displayNodeInfo($child, $level + 1); // 子要素を再帰的に表示 84 } elseif ($child instanceof Dom\Comment) { 85 echo $indent . "- Commentノード (値: '" . substr($child->nodeValue, 0, 30) . (strlen($child->nodeValue) > 30 ? '...' : '') . "')" . PHP_EOL; 86 } else { 87 echo $indent . "- その他のノード (" . $child->nodeName . ")" . PHP_EOL; 88 } 89 } 90} 91 92// 関数の実行 93demonstrateDomNormalization();
PHP 8のDom\Document::normalize()メソッドは、XMLやHTMLのDOM(Document Object Model)ツリーを整理し、「正規化」するための機能です。このメソッドは引数を取らず、戻り値もありませんが、呼び出すと現在のDOMドキュメントの内容が変更されます。具体的には、DOMツリー内で隣接している複数のTextノード(テキストの内容を持つ部分)を一つに結合し、また内容が完全に空であるTextノードを削除します。
サンプルコードでは、まず意図的に複数の隣接するTextノードや空のTextノードを持つDOMツリーを作成しています。normalize()メソッドを呼び出す前と後で、これらのTextノードがどのように変化したかを出力で確認できます。例えば、「Part 1」と「Part 2」の間の空白だけのTextノードや、内容が空のTextノードは削除され、隣接するテキスト内容は結合されて一つのTextノードになります。これにより、DOMツリーが簡潔になり、データ処理や操作がしやすくなります。
PHPのDOM拡張機能は通常、PHP本体に標準で含まれているため、別途「インストール」は不要です。もし利用できない場合は、PHPのビルド設定で無効化されていないか確認してください。なお、キーワードにある「normalizer」という言葉が、文字の全角・半角統一といったUnicode正規化を指す場合、それはintl拡張機能のNormalizerクラスの役割であり、このDom\Document::normalize()とは目的が異なりますのでご注意ください。
このサンプルコードは、PHPのDOM操作において、複数の隣接するテキストノードを結合したり、空のテキストノードを削除したりするDom\Document::normalize()メソッドの利用法を示しています。初心者が特に注意すべき点は、このメソッドがUnicodeの正規化(文字コードの統一など)を行うintl拡張のNormalizerクラスとは全く異なる目的を持つことです。PHPのDOM拡張機能は、通常、PHPに標準で組み込まれているため、特別なインストール作業は基本的に不要です。もしDOM機能が利用できない場合は、PHPのビルド設定を確認してください。このメソッドは直接の戻り値を持ちませんが、呼び出し後にDOMツリーの内容が変更されますので、その影響を理解しておくことが重要です。